会社のための社会保険労務士(MSR)!!                   悩む、迷うより先に相談を!!

悩みや問題を解決するお手伝いをして『より良い会社になって頂くこと』がMSRの使命(ミッション)であると考えています。

MSRは、経営者としての経験と、その後に体系的に学習したことを基に、 「経営者の視点」「法律家の視点」「経営コンサルタントの視点」から助言し、

ご依頼があれば経営者に寄り添い、一緒になって会社の問題や課題を解決していきます。

誠実」「真摯」「迅速」な「貢献」を信条としています。

原則は「Simple is Best

 

特定社会保険労務士

個人情報保護認定事業所 ( SRP Ⅱ ) 認証番号1600125

広島商工会議所会員

 

( 連 絡 先 ) 代表電話:082-222-9122   mail:k.m▲crux.ocn.ne.jp (▲マークを@に変換)

(事務所所在地) 〒730-0012 広島市中区上八丁堀 7-1 ハイオス広島

(営業時間) 8:00~20:00 年中無休   ( 休日もご遠慮なくご相談ください )

   代表電話は受付の都合で平日の9:00~17:30の間しかつながりません。その後及び土日祝日はメールでお問い合わせください。

 なお、Teams / Zoom等によるテレビ会議を使用したご相談も承っています

 

(氏名) 村上 公政   (最終学歴) 慶応義塾大学 経済学部 加藤寛ゼミ

(所属) 広島県社会保険労務士会       (開業) 平成14年12月

 

他の社労士のほか、他の士業(弁護士、司法書士、税理士)等と連携して、それぞれの得意分野、専門分野を活かしながら案件を処理していく場合があります。その場合にはご依頼者から予めご了解を頂きます。

次のような経営者の方は是非ご相談ください。初回のご相談は無料!!  着手するまで料金は不要!

  • 会社の現状(問題や課題)を打破する対策を考えたい方(経営の革新や改善を図りたい方)
  • 社内の「働き方改革」を推進されたい方
  • 自社の労務管理方法の妥当性をチェックし、より良い会社経営を目指したい方
  • 就業規則や社内諸規則を改正(制定)したい方
  • 従業員とのトラブル(個別労働紛争)を解決したい方
  • 給与体系、退職金制度などを再検討したい方
  • 人事評価制度、社内教育訓練を再検討したい方
  • 経営や社内事務を合理化して、業務効率化と経費節減を図りたい方
  • 給与計算事務を外注して社内業務の効率化を図り、未払賃金の発生を防止したい方
  • 労働基準監督署、労働局、日本年金機構の調査を受けるが、どうしたら良いか分らない方
  • 助成金・補助金を利用されたい方
  • どこに相談したら良いかわからない会社の問題で悩んでいる方

建設業 36協定

 建設業の36協定の書き方に関するご質問がありましたのでブログにさせて頂きました。

 建設業には元請け/下請け/孫下請け等がありますが、労働保険の年度更新とは異なり、36協定を作成する際に大切なことは労働時間他の労務管理等をどこで行っているか?です。

注意点(Ⅰ)は、以下①~⑤を参考にして「どの現場の36協定は本社事務所とは別に36協定を届出する必要があるのか?」を判断する必要があります(注意点(Ⅰ)は出雲労基署のパンフレットから引用しています)。

≪36協定の届出が不要な場合≫

① 現場内に現場事務所を設けず、又は、労務管理等を含む管理責任者を常駐させない建設現場、

② 本社などの別拠点の在籍者が、その現場に短期間(1週間程度等)の出張作業として入場する建設現場、

(③ 一人親方として入場する場合又は個人事業主のみを使用する建設現場)

は、その現場の36協定を提出する必要はなく、本社事務所等でマトメて36協定を作成します。

≪36協定の届出が必要な場合≫

④ 建設現場に現場事務所を設けて、労務管理を含めた管理責任者常駐の下で労働者を使用する建設現場

⑤その建設現場が労働者を使用する唯一の現場であり、ほかに上位組織に該当する拠点(本社事務所等)が無い建設現場(=建設現場しか無い場合)

 

注意点(Ⅱ)は、届出様式に種類がありますから届出様式を選択しましょう。各様式は厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」からダウンロードできます。「様式9号の2と様式9号」(一般企業と同じ)と「様式9号の3の3と様式9号の3の2」(建設業専用)とは少し離れた箇所にアップロードされています。

(A) 様式9号の3の3・・・時間外労働が1か月で45時間(1年変形の場合は42時間)を超えるコトがあり、特別条項として災害時の復旧/復興に従事する場合を想定して届出する必要があるときに使用

(B) 様式9号の2・・・時間外労働が1か月で45時間(1年変形の場合は42時間)を超えるコトがあるが、特別条項に災害時の復旧/復興に従事する場合を想定せずに届出するときに使用

(C) 様式9号の3の2・・・時間外労働が1か月で45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)を超えるコトは無いが、災害時の復旧/復興に従事する場合を想定して届出する必要があるときに使用

(D) 様式9号・・・時間外労働が1か月で45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)を超えるコトがなく、特別条項に災害時の復旧/復興に従事する場合を想定せずに届出するときに使用

 

注意点(Ⅲ)は、記載時に厚労省パンフレットにはないか、又は見落とし易い注意点です。

① 各様式の右上の「労働保険番号」は、「本社事務所」として建設現場の従業員も含めて提出するのか? 「建設現場」として単独で提出するのか?  労働保険番号を間違えないようにしましょう。

日付を記入する欄が、通常の36協定(1枚目)の右上に2か所「協定の有効期間」「起算日(年月日)」、特別条項(2枚目)の右上に1か所「起算日(年月日)」ありますから漏れなく記入してください。

特別条項に「②災害時における復旧及び復興に従事する場合」を記入する欄がある様式(様式9号の3の3)を使用する場合でも、「①工作物の建設の事業に従事する場合」の「1箇月」の「延長することができる時間数及び休日労働の時間数」の欄は必ず「100時間未満の時間数を記入してください(下段の「復旧及び復興」に関する時間数とは違い100時間以上の時間数を記入すると法違反となります)。

④ 通常の36協定(1枚目)と特別条項とにより時間外労働と休日労働とをさせることが出来る事由を記入する欄は、通常の36協定(1枚目)と特別条項とで違う内容(事由)を記入することが必要です。ここに記載して無い事由では時間外労働等をさせるこどかできなくなりますから、この事由は出来るだけ幅広く各業務を記載しておく方が良いと思います。

チェックボックス(最大4か所)は、内容を確認して必ず全てにチェックできるようにしましょう。

 

注意点(Ⅳ)は、労働組合が無い場合の従業員代表の選出方法は、労働基準監督署の指導/調査等が後日にあったときに選出方法が示せる手段(投票用紙の保存、選出同意書の回覧保存、Webによる記録等)にしましょう。この選出方法が適正でない場合は、仮に36協定の届出をしていたとしても、その36協定が無効と判断されるリスクがあります。

 

最後の注意点(Ⅴ)は、届出した後の管理上の注意点ですが、36協定の届出をしても実務上での管理/確認、必要に応じて従業員を指導することが大切です。業務ソフトで管理データの作成を容易にしても、最後は人間が管理・確認しなければ管理データは単なる数値の記録に過ぎなくなります。

①「月60時間超」の時間外労働を行った従業員が発生したら、年間720時間の上限に抵触する可能性がありますので、その後の時間外労働時間数の管理は注意してください。

②「月80時間超」の時間外労働を行った従業員が発生したら、その後は時間外労働と(法定)休日労働の合計時間数を管理してください(2~6か月平均で1か月80時間以内の上限に抵触する可能性があります)

③ 特別条項を提出したとしても、月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)を超えることができるのは年間6回までですから、月45時間を超えて時間外労働をする従業員が発生する場合は回数を管理しましょう。

 

 

 

 

 

 

育児短時間制度 社会保険適用拡大 養育特例

 社会保険の加入者数が約80名の会社の総務担当者から、育児休業を今年4月で終了しその後は短時間勤務を希望する従業員さんについてご相談がありました。「該当者には今回育児休業が終了した子供の上に2人の幼い子供がいるので1日4時間(週5日)勤務を該当者は希望しているが、4時間の短時間勤務でも可能なのか?」というご相談が総務担当者からありました。

 その会社では過去に育児休業後の短時間勤務制度と養育特例とを利用した従業員が数名いますが、いずれも1日6時間勤務で、1日4時間勤務の希望が従業員から出るのは初めてのことなので総務担当者が私に確認された次第です。

 そこで私が会社の「育児介護に関する規則」を確認した処、規則には「(標準的な)労働時間数は6時間とする。ただし、本人から申出がある場合は本人と会社が話し合いを行い前記の時間以外とすることがある。」と規定されていました。その為、「1日4時間の勤務でも会社業務に支障がないのであれば本人の申出通りにするのが妥当でしょう」と私は回答しましたが、同時に社会保険の資格と養育特例とについて次のようなこともお伝えしました。

① 会社が1日4時間勤務(週20時間勤務)でも良いと認めるのであれば育児短時間勤務を利用できるが、1週30時間未満の勤務だから育児休業後は社会保険の資格を喪失すること。

② しかし、2024年10月から社会保険の適用が拡大される為、会社の人数規模から判断すると週20時間以上の人(その他にも条件はありますが)も社会保険に加入しなければならなくなること。

③ その為、育児休業後の4月から9月の間は社会保険被保険者としての資格はないが、同年10月から再び社会保険の資格を取得することになること。

④ ここで考えた方が良いのは育児休業後の「養育特例」であること。1日4時間の育児短時間勤務になると社会保険の資格を一度喪失するので「養育特例」は使えず、また10月から再び社会保険の資格を取得しても「養育特例」は使えないこと。

⑤ もし、育児休業後は1日6時間の短時間勤務になると社会保険に引き続き加入し続けることができ、3か月後に育児休業月額変更届手続きをすればその後は社会保険料が安くなること。

以上を会社の総務担当者に説明した処、担当者は

⑥ (無理でなければ)チョッと頑張って、今年9月までは1日6時間勤務(週30時間勤務)で社会保険の資格を有し続け、今年10月以降に1日4時間勤務になると養育特例を使うことが出来るようになるということですネ。

と回答されたので、

 私は「上のお子様のときに養育特例を既に利用されていますから養育特例のことは理解されていると思いますが、以上①から⑤のことを考え、ご夫婦でよく話し合いをしたうえで、会社に自分の意向を伝えるよう連絡されると良いと思います」とご説明しました。

 

 

それってパワハラ ?

 従業員が「適応障害のため1か月間の療養を要す」と診断された会社があります。この会社の就業規則では休職に関する条文で「"私傷病による欠勤が継続して30日を超える場合"は休職制度を利用することができる」と定めてありますので、取り敢えず該当者の病気欠勤を認めることにしました。

 しかし、その部署には同じ診断をされ約6か月前から休職している従業員が1人いますから、これで2人目です。

 その為、会社としては、パワーハラスメントの疑いがあるので調査を開始しました。最初の従業員が病気欠勤を開始した際にもパワハラの疑いがあったので、会社は独自で調査し本人・同僚・上司等から事情聴取したのですが「誰が」「いつ」「どんなときに」「どんなことをしたのか又は言ったのか」等が特定できませんでした。

 今回の従業員さんに「パワハラがあった」と申出するか確認した処、その考えは無いということでした。しかし、「適応障害のため療養を要す」と診断されたことは動かし難い事実であり、今回で同じ部署から2人目が発生しているので、会社としては職場環境配慮義務違反とならないよう原因を究明する必要がありました。その為、私に相談された次第です。

 私が会社に助言しながら調査を進めていくと、パワハラと明確に判断される言動は見つかりませんでしたが、特定の同僚(先輩)の言動が原因であるようだということが分かってきました。その為、会社はその同僚(先輩)と面談をし、パワハラ防止の為の教育・指導をすることにしたのですが、その同僚(先輩)は教育・指導の内容を理解しようとせず「そんなら辞めます」と辞意を伝えてきました。会社としては2人が休職又は病気欠勤している状況なので、その同僚(先輩)に辞められては困るのですが第三の被害者を出す訳にはいけないので、その辞意を受理することにしました。

 なお、数日後に、約6か月前から休職している従業員が傷病手当金支給申請の書類を会社に持参したので、「○○さん(前記の同僚(先輩))が辞めることになりました」と伝えた処、「○○さんが出社しなくなるのであれば、医師とも相談の上で、早急に復職するようにします」との回答があり、会社はなんとかその部署の業務を継続させることができそうなので一安心したそうです。

 

 

 

 

 

 

組織の運営には縁の下の力持ちが必要!!

 友人の勧めで広島交響楽団のコンサートに行きました。交響曲コンサートなど無縁な私の日常ですが、私は指揮者(パスカル・ロフェ氏)がどんな指揮をして楽団に名曲を演奏させるのかを観察することが目的でした。

 開演5分前までは各楽器の担当者がそれぞれ音色の調整をしていましたが、その後は指揮台の左手にいるバイオリニストが奏でる音に他の楽器担当者が音合わせを行った後に演奏が始まりました。そのバイオリニストは小柄な女性で、演奏中は他のバイオリニストと違って体全体を使って演奏し、音色も他の演奏者よりも大きく響いていることに気づきました。指揮者も体全体を使って指揮していましたが、その側で体全体を使って(座ったまま)バイオリンを奏でる女性の動きに私は注目していました。無知な私は「なんで、あなんに体全体を使って演奏するのかナ? 小柄だからバイオリンの音色を活かす為かナ?・・・」と思いながら観ていました。

 しかし、演奏会の合間にパンフレットを見て「コンサート・マスター」と記載されていることに気づき、事務所に帰ってからネット検索し初めてその女性バイオリニストの役割を理解することができました。その日の指揮者は客演(楽団外部から招いた指揮者)であり、楽団の特質を把握しているコンサート・マスターが指揮者の意図が演奏曲に反映されるよう「縁の下の力持ち」の役割を果たしていることを知りました。ネット情報によると、万が一指揮者にトラブルが発生したときはコンサート・マスターが各楽器の演奏者に指示を出して演奏を継続させるとのことでした。このことを後で知った私は、指揮者が登壇する前にその女性とだけ握手をしてから登壇したことの意味を理解することができました。

 どんな組織でも「縁の下の力持ち」にあたる人は必要なのですネ。会社でも同じことが言えるのではないでしょうか? パナソニック・グループの創業者:松下幸之助翁には高橋荒太郎翁が、ホンダ技研の本田宗一郎翁には藤沢武夫翁がいらっしゃいました。しかし、この「縁の下の力持ち」を正しく評価することは至難の業のような気がします。

 

 

 

最低賃金の減額の特例許可申請のマクロ化

 宿直者の「最低賃金の減額の特例許可」を更新する時期となった会社があります。

 「最低賃金の減額の特例許可」を得ていると最低賃金法を下回る時給でも違法とはなりません。宿直者の「監視断続的業務に関する許可」(業務と場所に対する許可)は数年数年前に得ていますので大丈夫なのですが、「最低賃金の減額の特例許可」(人ごとの許可)は毎年手続きする必要があります。

 この会社には宿直専門の従業員さん達が3名いらして、いずれも65歳超の高齢者の人達です。

 昨年までは、会社のExcel形式の「勤務シフト表」を元に関数を使用して計算していました。しかし、煩わしいので何とかならないのかナ?と考えていました。この会社には不規則な交代制で勤務する宿直専門の従業員さんが3名いて、宿直として「拘束される時間数」と「実働する時間数」とが「平日」、「土曜」、「日祝」で違う為に毎月の実労働時間数が個人によって異なるため1年単位で判定する必要があり、その結果として計算が非常に複雑になり非常に煩わしく、また端数処理などによる間違いも起こりやすい状態でした。

 そこで私は空いた時間を利用して気分転換を目的にExcelのマクロ機能と関数とを併用した計算モデルを作ることしました。その手順としては、

① 責任者がExcelで作成した「勤務シフト表」(月ごとに日付順に担当する人の氏名が記載されている)をマクロ付Excel表に読み取らせる。

② マクロ付Excel表で曜日ごとに担当者を仕訳けさせる。

③ マクロ付Excel表で担当者ごとに、平日と土曜と日祝の勤務日数が年間で各何日あるかを集計させる。・・・>この②③の作業で従来は16時間程度を要していましたが、マクロ機能のおかげで3分以内にできるようになりました。

④ ③の結果をもとに最低賃金法で定められた時間単価に対して何%減額できるかを計算させる。

⑤ ④の結果をもとに新しい労働条件通知書を作成し本人に交付する(署名してもらう)。

⑥ ④の結果を労基署所定の届出様式に転記する。

⑦ この後で労基署に届出します。

 なお、この「最低賃金の減額の特例」の許認可には届出してから約1か月を要しますから、いかに早く届出できるかが非常に重要なことになります。しかし、このマクロ付Excelを使えば「早く」「正確な」集計をすることができるようになります。

 これはExcelのマクロ機能と関数とを使用して業務を改善する事例ですが、会社業務の中にはExcelのマクロ機能と関数とを上手く使えば専用の業務ソフトを購入しなくても合理化できる業務が沢山あるのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建設業 36協定

 建設業の36協定の書き方に関するご質問がありましたのでブログにさせて頂きました。

 建設業には元請け/下請け/孫下請け等がありますが、労働保険の年度更新とは異なり、36協定を作成する際に大切なことは労働時間他の労務管理等をどこで行っているか?です。

注意点(Ⅰ)は、以下①~⑤を参考にして「どの現場の36協定は本社事務所とは別に36協定を届出する必要があるのか?」を判断する必要があります(注意点(Ⅰ)は出雲労基署のパンフレットから引用しています)。

≪36協定の届出が不要な場合≫

① 現場内に現場事務所を設けず、又は、労務管理等を含む管理責任者を常駐させない建設現場、

② 本社などの別拠点の在籍者が、その現場に短期間(1週間程度等)の出張作業として入場する建設現場、

(③ 一人親方として入場する場合又は個人事業主のみを使用する建設現場)

は、その現場の36協定を提出する必要はなく、本社事務所等でマトメて36協定を作成します。

≪36協定の届出が必要な場合≫

④ 建設現場に現場事務所を設けて、労務管理を含めた管理責任者常駐の下で労働者を使用する建設現場

⑤その建設現場が労働者を使用する唯一の現場であり、ほかに上位組織に該当する拠点(本社事務所等)が無い建設現場(=建設現場しか無い場合)

 

注意点(Ⅱ)は、届出様式に種類がありますから届出様式を選択しましょう。各様式は厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」からダウンロードできます。「様式9号の2と様式9号」(一般企業と同じ)と「様式9号の3の3と様式9号の3の2」(建設業専用)とは少し離れた箇所にアップロードされています。

(A) 様式9号の3の3・・・時間外労働が1か月で45時間(1年変形の場合は42時間)を超えるコトがあり、特別条項として災害時の復旧/復興に従事する場合を想定して届出する必要があるときに使用

(B) 様式9号の2・・・時間外労働が1か月で45時間(1年変形の場合は42時間)を超えるコトがあるが、特別条項に災害時の復旧/復興に従事する場合を想定せずに届出するときに使用

(C) 様式9号の3の2・・・時間外労働が1か月で45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)を超えるコトは無いが、災害時の復旧/復興に従事する場合を想定して届出する必要があるときに使用

(D) 様式9号・・・時間外労働が1か月で45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)を超えるコトがなく、特別条項に災害時の復旧/復興に従事する場合を想定せずに届出するときに使用

 

注意点(Ⅲ)は、記載時に厚労省パンフレットにはないか、又は見落とし易い注意点です。

① 各様式の右上の「労働保険番号」は、「本社事務所」として建設現場の従業員も含めて提出するのか? 「建設現場」として単独で提出するのか?  労働保険番号を間違えないようにしましょう。

日付を記入する欄が、通常の36協定(1枚目)の右上に2か所「協定の有効期間」「起算日(年月日)」、特別条項(2枚目)の右上に1か所「起算日(年月日)」ありますから漏れなく記入してください。

特別条項に「②災害時における復旧及び復興に従事する場合」を記入する欄がある様式(様式9号の3の3)を使用する場合でも、「①工作物の建設の事業に従事する場合」の「1箇月」の「延長することができる時間数及び休日労働の時間数」の欄は必ず「100時間未満の時間数を記入してください(下段の「復旧及び復興」に関する時間数とは違い100時間以上の時間数を記入すると法違反となります)。

④ 通常の36協定(1枚目)と特別条項とにより時間外労働と休日労働とをさせることが出来る事由を記入する欄は、通常の36協定(1枚目)と特別条項とで違う内容(事由)を記入することが必要です。ここに記載して無い事由では時間外労働等をさせるこどかできなくなりますから、この事由は出来るだけ幅広く各業務を記載しておく方が良いと思います。

チェックボックス(最大4か所)は、内容を確認して必ず全てにチェックできるようにしましょう。

 

注意点(Ⅳ)は、労働組合が無い場合の従業員代表の選出方法は、労働基準監督署の指導/調査等が後日にあったときに選出方法が示せる手段(投票用紙の保存、選出同意書の回覧保存、Webによる記録等)にしましょう。この選出方法が適正でない場合は、仮に36協定の届出をしていたとしても、その36協定が無効と判断されるリスクがあります。

 

最後の注意点(Ⅴ)は、届出した後の管理上の注意点ですが、36協定の届出をしても実務上での管理/確認、必要に応じて従業員を指導することが大切です。業務ソフトで管理データの作成を容易にしても、最後は人間が管理・確認しなければ管理データは単なる数値の記録に過ぎなくなります。

①「月60時間超」の時間外労働を行った従業員が発生したら、年間720時間の上限に抵触する可能性がありますので、その後の時間外労働時間数の管理は注意してください。

②「月80時間超」の時間外労働を行った従業員が発生したら、その後は時間外労働と(法定)休日労働の合計時間数を管理してください(2~6か月平均で1か月80時間以内の上限に抵触する可能性があります)

③ 特別条項を提出したとしても、月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)を超えることができるのは年間6回までですから、月45時間を超えて時間外労働をする従業員が発生する場合は回数を管理しましょう。

 

 

 

 

 

 

育児短時間制度 社会保険適用拡大 養育特例

 社会保険の加入者数が約80名の会社の総務担当者から、育児休業を今年4月で終了しその後は短時間勤務を希望する従業員さんについてご相談がありました。「該当者には今回育児休業が終了した子供の上に2人の幼い子供がいるので1日4時間(週5日)勤務を該当者は希望しているが、4時間の短時間勤務でも可能なのか?」というご相談が総務担当者からありました。

 その会社では過去に育児休業後の短時間勤務制度と養育特例とを利用した従業員が数名いますが、いずれも1日6時間勤務で、1日4時間勤務の希望が従業員から出るのは初めてのことなので総務担当者が私に確認された次第です。

 そこで私が会社の「育児介護に関する規則」を確認した処、規則には「(標準的な)労働時間数は6時間とする。ただし、本人から申出がある場合は本人と会社が話し合いを行い前記の時間以外とすることがある。」と規定されていました。その為、「1日4時間の勤務でも会社業務に支障がないのであれば本人の申出通りにするのが妥当でしょう」と私は回答しましたが、同時に社会保険の資格と養育特例とについて次のようなこともお伝えしました。

① 会社が1日4時間勤務(週20時間勤務)でも良いと認めるのであれば育児短時間勤務を利用できるが、1週30時間未満の勤務だから育児休業後は社会保険の資格を喪失すること。

② しかし、2024年10月から社会保険の適用が拡大される為、会社の人数規模から判断すると週20時間以上の人(その他にも条件はありますが)も社会保険に加入しなければならなくなること。

③ その為、育児休業後の4月から9月の間は社会保険被保険者としての資格はないが、同年10月から再び社会保険の資格を取得することになること。

④ ここで考えた方が良いのは育児休業後の「養育特例」であること。1日4時間の育児短時間勤務になると社会保険の資格を一度喪失するので「養育特例」は使えず、また10月から再び社会保険の資格を取得しても「養育特例」は使えないこと。

⑤ もし、育児休業後は1日6時間の短時間勤務になると社会保険に引き続き加入し続けることができ、3か月後に育児休業月額変更届手続きをすればその後は社会保険料が安くなること。

以上を会社の総務担当者に説明した処、担当者は

⑥ (無理でなければ)チョッと頑張って、今年9月までは1日6時間勤務(週30時間勤務)で社会保険の資格を有し続け、今年10月以降に1日4時間勤務になると養育特例を使うことが出来るようになるということですネ。

と回答されたので、

 私は「上のお子様のときに養育特例を既に利用されていますから養育特例のことは理解されていると思いますが、以上①から⑤のことを考え、ご夫婦でよく話し合いをしたうえで、会社に自分の意向を伝えるよう連絡されると良いと思います」とご説明しました。

 

 

それってパワハラ ?

 従業員が「適応障害のため1か月間の療養を要す」と診断された会社があります。この会社の就業規則では休職に関する条文で「"私傷病による欠勤が継続して30日を超える場合"は休職制度を利用することができる」と定めてありますので、取り敢えず該当者の病気欠勤を認めることにしました。

 しかし、その部署には同じ診断をされ約6か月前から休職している従業員が1人いますから、これで2人目です。

 その為、会社としては、パワーハラスメントの疑いがあるので調査を開始しました。最初の従業員が病気欠勤を開始した際にもパワハラの疑いがあったので、会社は独自で調査し本人・同僚・上司等から事情聴取したのですが「誰が」「いつ」「どんなときに」「どんなことをしたのか又は言ったのか」等が特定できませんでした。

 今回の従業員さんに「パワハラがあった」と申出するか確認した処、その考えは無いということでした。しかし、「適応障害のため療養を要す」と診断されたことは動かし難い事実であり、今回で同じ部署から2人目が発生しているので、会社としては職場環境配慮義務違反とならないよう原因を究明する必要がありました。その為、私に相談された次第です。

 私が会社に助言しながら調査を進めていくと、パワハラと明確に判断される言動は見つかりませんでしたが、特定の同僚(先輩)の言動が原因であるようだということが分かってきました。その為、会社はその同僚(先輩)と面談をし、パワハラ防止の為の教育・指導をすることにしたのですが、その同僚(先輩)は教育・指導の内容を理解しようとせず「そんなら辞めます」と辞意を伝えてきました。会社としては2人が休職又は病気欠勤している状況なので、その同僚(先輩)に辞められては困るのですが第三の被害者を出す訳にはいけないので、その辞意を受理することにしました。

 なお、数日後に、約6か月前から休職している従業員が傷病手当金支給申請の書類を会社に持参したので、「○○さん(前記の同僚(先輩))が辞めることになりました」と伝えた処、「○○さんが出社しなくなるのであれば、医師とも相談の上で、早急に復職するようにします」との回答があり、会社はなんとかその部署の業務を継続させることができそうなので一安心したそうです。

 

 

 

 

 

 

組織の運営には縁の下の力持ちが必要!!

 友人の勧めで広島交響楽団のコンサートに行きました。交響曲コンサートなど無縁な私の日常ですが、私は指揮者(パスカル・ロフェ氏)がどんな指揮をして楽団に名曲を演奏させるのかを観察することが目的でした。

 開演5分前までは各楽器の担当者がそれぞれ音色の調整をしていましたが、その後は指揮台の左手にいるバイオリニストが奏でる音に他の楽器担当者が音合わせを行った後に演奏が始まりました。そのバイオリニストは小柄な女性で、演奏中は他のバイオリニストと違って体全体を使って演奏し、音色も他の演奏者よりも大きく響いていることに気づきました。指揮者も体全体を使って指揮していましたが、その側で体全体を使って(座ったまま)バイオリンを奏でる女性の動きに私は注目していました。無知な私は「なんで、あなんに体全体を使って演奏するのかナ? 小柄だからバイオリンの音色を活かす為かナ?・・・」と思いながら観ていました。

 しかし、演奏会の合間にパンフレットを見て「コンサート・マスター」と記載されていることに気づき、事務所に帰ってからネット検索し初めてその女性バイオリニストの役割を理解することができました。その日の指揮者は客演(楽団外部から招いた指揮者)であり、楽団の特質を把握しているコンサート・マスターが指揮者の意図が演奏曲に反映されるよう「縁の下の力持ち」の役割を果たしていることを知りました。ネット情報によると、万が一指揮者にトラブルが発生したときはコンサート・マスターが各楽器の演奏者に指示を出して演奏を継続させるとのことでした。このことを後で知った私は、指揮者が登壇する前にその女性とだけ握手をしてから登壇したことの意味を理解することができました。

 どんな組織でも「縁の下の力持ち」にあたる人は必要なのですネ。会社でも同じことが言えるのではないでしょうか? パナソニック・グループの創業者:松下幸之助翁には高橋荒太郎翁が、ホンダ技研の本田宗一郎翁には藤沢武夫翁がいらっしゃいました。しかし、この「縁の下の力持ち」を正しく評価することは至難の業のような気がします。

 

 

 

最低賃金の減額の特例許可申請のマクロ化

 宿直者の「最低賃金の減額の特例許可」を更新する時期となった会社があります。

 「最低賃金の減額の特例許可」を得ていると最低賃金法を下回る時給でも違法とはなりません。宿直者の「監視断続的業務に関する許可」(業務と場所に対する許可)は数年数年前に得ていますので大丈夫なのですが、「最低賃金の減額の特例許可」(人ごとの許可)は毎年手続きする必要があります。

 この会社には宿直専門の従業員さん達が3名いらして、いずれも65歳超の高齢者の人達です。

 昨年までは、会社のExcel形式の「勤務シフト表」を元に関数を使用して計算していました。しかし、煩わしいので何とかならないのかナ?と考えていました。この会社には不規則な交代制で勤務する宿直専門の従業員さんが3名いて、宿直として「拘束される時間数」と「実働する時間数」とが「平日」、「土曜」、「日祝」で違う為に毎月の実労働時間数が個人によって異なるため1年単位で判定する必要があり、その結果として計算が非常に複雑になり非常に煩わしく、また端数処理などによる間違いも起こりやすい状態でした。

 そこで私は空いた時間を利用して気分転換を目的にExcelのマクロ機能と関数とを併用した計算モデルを作ることしました。その手順としては、

① 責任者がExcelで作成した「勤務シフト表」(月ごとに日付順に担当する人の氏名が記載されている)をマクロ付Excel表に読み取らせる。

② マクロ付Excel表で曜日ごとに担当者を仕訳けさせる。

③ マクロ付Excel表で担当者ごとに、平日と土曜と日祝の勤務日数が年間で各何日あるかを集計させる。・・・>この②③の作業で従来は16時間程度を要していましたが、マクロ機能のおかげで3分以内にできるようになりました。

④ ③の結果をもとに最低賃金法で定められた時間単価に対して何%減額できるかを計算させる。

⑤ ④の結果をもとに新しい労働条件通知書を作成し本人に交付する(署名してもらう)。

⑥ ④の結果を労基署所定の届出様式に転記する。

⑦ この後で労基署に届出します。

 なお、この「最低賃金の減額の特例」の許認可には届出してから約1か月を要しますから、いかに早く届出できるかが非常に重要なことになります。しかし、このマクロ付Excelを使えば「早く」「正確な」集計をすることができるようになります。

 これはExcelのマクロ機能と関数とを使用して業務を改善する事例ですが、会社業務の中にはExcelのマクロ機能と関数とを上手く使えば専用の業務ソフトを購入しなくても合理化できる業務が沢山あるのではないでしょうか?