労災事故と選択式401K(企業型確定拠出年金)

 老後の生活に備える為に、401K(確定拠出年金)を利用される従業員さんが増えているようです。

 この度、選択式401K(企業型確定拠出年金)制度を採用している会社で約2か月間の休業を要する業務上の労災事故が発生し、その手続きを行った後に労基署から賃金台帳の「退職準備給付」と「給与選択金」とについて確認の電話があり、その説明に手間取りました。個人型確定拠出年金に関する知識はかなり普及しているようですが、企業型確定拠出年金に関する知識はあまり普及して無いらしく労災審査担当者にその知識が不足していたようです。

 企業型確定拠出年金は、会社と保険会社等が契約を締結し、従業員の賃金(通常は基本給)の内の任意の額(最高55,000円)を退職準備給付に設定(就業規則等に記載)すると、従業員は退職準備給付の額の範囲内で確定拠出年金の401K掛金にする金額を月単位で決めることができるようになります。なお、退職準備給付の限度額のうち401K掛金としなかった額は給与選択金として毎月の賃金で支給されます(退職準備給付=401K掛金+給与選択金)。企業型確定拠出年金のメリットは、「401K掛金」で選択した金額が所得税・住民税・(社会保険)標準報酬月額・労働保険の対象外となる為、401K掛金相当額にかかっていた税金分と保険料分が安くなることです(割増賃金の対象にはなるコト、最低賃金法の対象外となるコトには留意が必要です)。これは会社・従業員の双方にとってメリットと言えばそうなると思います。また、退職金を退職準備金等の社内留保から支払っていた会社(基本給✖勤続年数に応じた倍率 等)がこの制度を利用すると、昔しパナソニックさんが退職金制度の再構築をされた時(退職金として受給するか? それとも月々の賃金として受給するか? の選択)と同様に退職準備金の積立て相当額を従業員の賃金に回すことで毎月の賃金を増やすことができ、そこで定めた退職準備給付の全額を賃金として受給するか? それとも一部又は全部を401K掛金とするかを従業員の選択に任せることになるメリットもあると考えます。なお、極めて簡単に企業型401K(確定拠出年金)の概要説明をしましたので、詳しくはネット検索でより詳しい情報を確認して下さるようお願い致します。

 今回の事案では従業員さんの希望により「401K掛金」を会社が保険会社に例月通りの額を支払っていました。一方、従業員さんは被災後3日間休業し、4日目から労災保険による休業補償給付が支給される訳ですが、会社は休業の3日間分の賃金をノーワークノーペイの原則に従い賃金(401K掛金を含む)から控除し、休業手当として平均賃金の6割以上を支給されていました。その為、控除した金額の計算式に中に賃金台帳には無い「401K掛金」というのがあり、労災審査担当の労基官が不審に思い確認してきた次第でした。なお、「401K掛金」は労働保険の対象外で平均賃金にも反映されませんから労災事故に伴う休業補償給付の額もその分は少額となります(健康保険の傷病手当金等も同様)。これは選択式401K(企業型確定拠出年金)のディメリットと言えばそうなのですがやむを得ないことだと思います(契約している保険会社パンフレットにもその旨の記載はありました)。