会社のための社会保険労務士(MSR)!!                   悩む、迷うより先に相談を!!

悩みや問題を解決するお手伝いをして『より良い会社になって頂くこと』がMSRの使命(ミッション)であると考えています。

MSRは、経営者としての経験と、その後に体系的に学習したことを基に、 「経営者の視点」「法律家の視点」「経営コンサルタントの視点」から助言し、

ご依頼があれば経営者に寄り添い、一緒になって会社の問題や課題を解決していきます。

誠実」「真摯」「迅速」な「貢献」を信条としています。

原則は「Simple is Best

 

特定社会保険労務士

個人情報保護認定事業所 ( SRP Ⅱ ) 認証番号1600125

広島商工会議所会員

 

( 連 絡 先 ) 代表電話:082-222-9122   mail:k.m▲crux.ocn.ne.jp (▲マークを@に変換)

(事務所所在地) 〒730-0012 広島市中区上八丁堀 7-1 ハイオス広島

(営業時間) 8:00~20:00 年中無休   ( 休日もご遠慮なくご相談ください )

   代表電話は受付の都合で平日の9:00~17:30の間しかつながりません。その後及び土日祝日はメールでお問い合わせください。

 なお、Teams / Zoom等によるテレビ会議を使用したご相談も承っています

 

(氏名) 村上 公政   (最終学歴) 慶応義塾大学 経済学部 加藤寛ゼミ

(所属) 広島県社会保険労務士会       (開業) 平成14年12月

 

他の社労士のほか、他の士業(弁護士、司法書士、税理士)等と連携して、それぞれの得意分野、専門分野を活かしながら案件を処理していく場合があります。その場合にはご依頼者から予めご了解を頂きます。

次のような経営者の方は是非ご相談ください。初回のご相談は無料!!  着手するまで料金は不要!

  • 会社の現状(問題や課題)を打破する対策を考えたい方(経営の革新や改善を図りたい方)
  • 社内の「働き方改革」を推進されたい方
  • 自社の労務管理方法の妥当性をチェックし、より良い会社経営を目指したい方
  • 就業規則や社内諸規則を改正(制定)したい方
  • 従業員とのトラブル(個別労働紛争)を解決したい方
  • 給与体系、退職金制度などを再検討したい方
  • 人事評価制度、社内教育訓練を再検討したい方
  • 経営や社内事務を合理化して、業務効率化と経費節減を図りたい方
  • 給与計算事務を外注して社内業務の効率化を図り、未払賃金の発生を防止したい方
  • 労働基準監督署、労働局、日本年金機構の調査を受けるが、どうしたら良いか分らない方
  • 助成金・補助金を利用されたい方
  • どこに相談したら良いかわからない会社の問題で悩んでいる方

労災事故と選択式401K(企業型確定拠出年金)

 老後の生活に備える為に、401K(確定拠出年金)を利用される従業員さんが増えているようです。

 この度、選択式401K(企業型確定拠出年金)制度を採用している会社で約2か月間の休業を要する業務上の労災事故が発生し、その手続きを行った後に労基署から賃金台帳の「退職準備給付」と「給与選択金」とについて確認の電話があり、その説明に手間取りました。個人型確定拠出年金に関する知識はかなり普及しているようですが、企業型確定拠出年金に関する知識はあまり普及して無いらしく労災審査担当者にその知識が不足していたようです。

 企業型確定拠出年金は、会社と保険会社等が契約を締結し、従業員の賃金(通常は基本給)の内の任意の額(最高55,000円)を退職準備給付に設定(就業規則等に記載)すると、従業員は退職準備給付の額の範囲内で確定拠出年金の401K掛金にする金額を月単位で決めることができるようになります。なお、退職準備給付の限度額のうち401K掛金としなかった額は給与選択金として毎月の賃金で支給されます(退職準備給付=401K掛金+給与選択金)。企業型確定拠出年金のメリットは、「401K掛金」で選択した金額が所得税・住民税・(社会保険)標準報酬月額・労働保険の対象外となる為、401K掛金相当額にかかっていた税金分と保険料分が安くなることです(割増賃金の対象にはなるコト、最低賃金法の対象外となるコトには留意が必要です)。これは会社・従業員の双方にとってメリットと言えばそうなると思います。なお、極めて簡単に企業型401K(確定拠出年金)の概要説明をしましたので、詳しくはネット検索でより詳しい情報を確認して下さるようお願い致します。

 今回の事案では従業員さんの希望により「401K掛金」を会社が保険会社に例月通りの額を支払っていました。一方、従業員さんは被災後3日間休業し、4日目から労災保険による休業補償給付が支給される訳ですが、会社は休業の3日間分の賃金をノーワークノーペイの原則に従い賃金(401K掛金を含む)から控除し、休業手当として平均賃金の6割以上を支給されていました。その為、控除した金額の計算式に中に賃金台帳には無い「401K掛金」というのがあり、労災審査担当の労基官が不審に思い確認してきた次第でした。なお、「401K掛金」は労働保険の対象外で平均賃金にも反映されませんから労災事故に伴う休業補償給付の額もその分は少額となります(健康保険の傷病手当金等も同様)。これは選択式401K(企業型確定拠出年金)のディメリットと言えばそうなのですがやむを得ないことだと思います(契約している保険会社パンフレットにもその旨の記載はありました)。

 

評価することの大切さ

 働き方改革が進展し、リ・スキリングが大切と言われる中で、従業員さん達を「評価」し「認める」ことが企業規模にかかわらず非常に大切なことになっています。一方、市場の顧客が激変を続ける中で上司が部下とコミュニケーションする機会が減っています。そこで上司と部下がコミュニケーションする手段の一つとして簡易な選択式の「評価項目リスト(現場向け)」を作成しました。この「評価項目リスト(現場向け)」を使用し、上司と部下が年に1回~2回程度は面談してコミュニケーションを図ってはどうでしょうか? この「評価項目リスト(現場向け)」を利用すれば、短時間で評価項目を選定することができます。

 人間は自分のコトが一番分からないものです。従業員自身は「普通のコトだ」と思っていても上司や会社にとっては「望ましくないコト」、従業員自身は「今のレベルで十分だ」と考えているコトでも上司や会社からすれば「会社や上司の期待水準にまだ到達していない」と判断していることもあります。その為、上司等に自分の言動やレベルを評価してもらうことで、自分の言動やレベルが会社や上司にどのように受け止められているかを知り、また伝える必要があるのではないでしょうか?

 今まで、私は20人~40人規模ならば評価制度など設けなくても日頃のコミュニケーションでそれを補えるものと考えていましたが、飲みにケーションの機会が減り、メールやチャットなどネットを利用したコミュニケーションが増え、また業務ソフトが普及したり作業のロボット化が進展し個人の作業が増えた昨今では対面でコミュニケーションする機会が減り、自分の発した言葉や行動が相手に自分が意図した通りに理解されないケースが増えているようです。因みに、「メラビアンの法則」によるとコミュニケーションは「話しの内容」よりも「声の質・トーン」「見た目や動作・しぐさ」で相手の理解が違うと言いますが、メールやチャット等では「話しの内容」(伝達)しか伝わらないのではないでしょうか?

 従来は評価制度を採用していなかった会社が私に新たに評価制度のご相談をされたとき、今まで私は既成の評価項目を押し付けるのではなく企業文化や業種・業態等を踏まえた会社独自の評価項目リストを作成できるように「その会社の社長(又は実権者)の頭の中には無意識(暗黙知)のうちに評価基準があるから従業員各自の給与等を決めることができている」と考え、その社長(又は実権者)の頭の中にある評価基準を明文化(形式知)することに時間と労力とを費やしていました。しかし、このやり方だと評価項目を形式知にするのにかなりの時間と労力とが必要となっていました。今後も従来のやり方は継続する予定ですが、この時間と労力とを軽減するため簡易な選択式の「評価項目リスト(現場向け)」を作成してみました。これを用いることで暗黙知を手際よく形式知にすることができるようになるのではないかと思います。

 また、「正しい評価制度を創ろうとすることが大切なのではなく、評価制度があるコトが大切なのだ」という名言と「会社は変化に対応し変化しているから評価項目もそれに合わせて変えていく方が良い」という考え方を元に、「無」から正しい評価制度を創ろうとするのではなく、この簡易版選択式評価リスト(現場向け)から始めて経年と共に評価制度をブラシュアップしていけば良いのではないかとも考えています。

  そして留意した方が良いのは「評価するコト」と「給与等を決めるコト」とは異なることであり、「部下に序列をつける為に評価制度を設けるのではなく、部下を育成する為に部下を評価する」と従来とは異なる発想をしてみてはどうでしょうか? 。このような発想をすると評価時に必要なことだと言わる部下との面談が行い易くなるのではないでしょうか? 評価項目は会社の期待値を従業員に伝える手段であり、必ずしも給与等を決める手段ではないと私は考えます。ご希望される場合は賃金テーブル等を作成して評価結果をそれに反映させるルールを作成しますが、私の顧問先でも人事評価はしているが、その結果は給与等を決める際の参考にする程度に止め直接的には反映させない会社があり、そこでは会社運営が極めて上手くいっています。大切なことは「人間は他人に"認められるコト"を好み、"軽んじられたり・無視されたりするコト"を忌避する」傾向があり、それは必ずしも給与等という金銭的なモノである必要は無いということです。みんなの前で「褒める」「賞状や感謝状等を手渡す」など金銭的ないコトでも良いと私は実務で体験しています

因みに、評価項目リスト(現場向け)は以下の項目で構成しています。

 

        ≪ 評価項目の構成 ≫

  < 1 > 会社方針・規則・ルール等の遵守 ( 共通 )

  < 2 > その従業員のスキル評価 ( 共通 )

  < 3 > 行動評価

          3-1. 個人としての行動評価 ( 選択 )

         3-2. 仕事のやり方の評価 ( 選択 )

         3-3. 組織人としての行動(チームワーク・協働)評価 ( 選択 )

  < 4 > 業績の評価 (目標が定められている場合のみ)

 

( 留意点-1 ) 評価するときに注意した方が良い点は、その従業員の「性格 (資質・人格)」ではなくと「行動(発言を含む)」と「スキル(技能)」を評価することだと考えます。

 ( 留意点-2 )<3>行動評価は選択式にしていますが、余り欲張った項目数にすると評価するのが大変な作業となってしまいますから、<3>行動評価の全部で最大7~8項目程度に止めた方が良いと考えます。

( 留意点-3 ) 面談するときは人間の本性を考え「その人の良い点を3点指摘し、その後で改善して貰いたい点を1点指摘する」ことが大切と考えます(欠点指摘型ではなく長所伸長型コミュニケーション)。

 

フレックスタイム制の特例

 「フレックスタイム制の特例」とは、「通達(基発30.09.07第一号)」と「労基法第32条の3 第3項」で定められている内容のことです。

 一般的なフレックスタイム制を誤解を恐れずに簡単に言うと「始業時刻と終業時刻とを従業員に委ね、清算期間(通常1か月、但し清算期間は3か月まで可能ですが話しが複雑になるので、ココでは1か月とします)の法律が定める総労働時間と実労働時間数とを比較して時間外労働時間数を確定させる制度」です。その為には、就業規則でフレックスタイム制に関する規定を定め、労使協定を締結することが必要です(なお、清算期間が1か月を超える場合は労使協定を労基署に届け出ることが必要です)。

 働き方改革の影響をうけて私も数件はフレックスタイム制の手続き(但し、清算期間は全て1か月)をお手伝いしましたが、今回あったご相談は正に「フレックスタイム制の特例」そのものでした。そこで「フレックスタイム制の特例」の説明を簡単にさせて頂くと次のようになります。

 通常のフレックスタイム制では、1か月間の法定総労働時間数の上限は暦日数が31日の月は177.14時間、30日の月は171.42時間となります(暦日数 ÷ 7日 ✖ 40時間)。その為、完全週休二日制で1日の所定労働時間数を8時間と定めている会社が、暦日数30日の月に土日が合計8日(2023年6月など)あるので暦日数から土日を引いた22日(=30日-8日)を所定労働日と定めようとすると、該当月の総所定労働時間数は8時間✖22日=176時間となり、所定労働日の全てを時間外労働なして勤務しても法定総労働時間数 171.42時間の上限を4.58時間上回るため「 4.58時間 」の時間外労働が発生してしまうことになります。「フレックスタイム制の特例」とはこの矛盾を解決した特例で、「完全週休2日制」の会社が「清算期間内の所定労働日数✖8時間を労働時間の限度とする」旨の定めを「労使協定」ですれば、前記の時間外労働4.58時間は時間外労働として取り扱わなくても良くしてくれる特例です。

 「組織はその構成員の自由度を増すほど管理が複雑になる」と言われますが、業務上の都合からフレックスタイム制を導入される企業さまが少なく、その中で完全週休二日制の企業さまは更に少ないので稀にしか発生しない特例ですが、タイムカード集計の誤りがないか再確認の依頼をうけることが多い私としては失念してはならない特例です。

 

 

 

 

 

 

コロナ罹患から適応障害に

 コロナに罹患した従業員が、コロナからは回復したものの1週間程度出勤した後に「適応障害」と診断され休業させることを余儀なくされた会社から相談がありました。コロナ治癒後に適応障害となられたご相談が私にあったのは3人目です。マスコミで報道されたように、コロナ治癒後に適応障害と診断されるケースは増えているようです。

 このような場合、私はコロナ罹患と適応障害の因果関係がよく分かってなく、また本人が短期間出勤した間にハラスメント行為があった可能性もあるので、その可能性を簡易に調べる様にしています。そして、今回の件を調べた処、本人もハラスメントはなかったと証言しハラスメント行為は無かったことが分かりました。

 この会社は、「適応障害」に限らず精神疾患に罹患した従業員への対応は未経験だった為、適応障害と診断された直後に私にご相談があり、私は診断書と就業規則とを見せて頂き、医師が診断書に「2か月間の療養を要す(≒労務提供不可)」と記載し、会社もそれを認めるのであれば休業させる必要があることをお伝えしました。特に、「適応障害」という診断は医師も明確に病状を特定することが難しい状態のときに診断されることが多く、また反復され長期間となる可能性があることもお伝えしました。そして、同時にその後にどのような推移が予想され、またそれに対して会社はどのように対処すべきかをご説明し、このような場合に私がいつもご紹介する高尾式メソッドも提供して、その後の推移を随時私に連絡して頂きたい旨をお伝えしていました。しかし、休業開始時にご相談はあったものの、その後はほとんど連絡が無い為、会社の方から本人に病状の確認をするようにお伝えしていました。

 そして先日、最初の医師の診断書による労務提供不可の期限がくるので再度医師の診断書を提出するよう本人に求めた処、再び2か月間ほど労務提供不可の期間が延長された医師の診断書が提出されたので、その会社は慌てて私にご相談されたようでした。

 そして分かったことは、私が「適応障害により療養を要す」という診断は反復される可能性があることや私が最初にお伝えした会社が対処すべきこと等をほとんど覚えてなく、ただ対処療法(当面発生しているコトにどのように対処したら良いか)だけを考えていらっしゃるようでした。そこで、参考となるであろう書籍の一部を見せながら最初の説明よりは具体的に会社がどのように対処したらよいか次のようなことをお話ししました。

①ご家族の協力を得ながら、本人の病状を把握(と回復)に努めること

②本人には最低でも月1回は連絡し、本人の話しを良く聴くこと

③本人の了解が得られれば、本人同席のもとに医師から直接病状の説明を聞くのが良いが、医師の話しを正しく理解するのは難しく、また医師も個人情報保護の観点からそれを嫌がる傾向が今でもあること。その為、会社が知りたいことを書面にし、本人から医師に提出させて医師に記入してもらうのが良いであろうこと

④本人の病状の程度にもよるが、本人に出来る限り規則正しい生活を過ごすように勧めること

 そして、ある程度は理解された感触があったので私も少し安心しましたが、ご相談に来られた会社の人が酷くヤツレて見えたので、私は「貴殿が適応障害ほかの精神疾患とならないように注意してください」とお伝えした。そうした処、その人は「少人数でやっているので、1人が休業していると他の従業員の仕事量が増え、他の従業員のコトも心配です」と言われていましたので、私は当分の間はこの会社に従来にも増して諸事配慮することにしました。

 

キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース

 キャリアアップ助成金に社会保険適用時処遇改善コースが新設され公開されています。

<A> 社会保険加入義務に関する条件(勤務時間数)

<B> 社会保険の被扶養者になることができる条件(年収)などを考え、

<C> 扶養者の会社が支給する家族手当に関する規定等との関係

から、働く時間数を調整していたパートタイマーさん達に、働く時間数を延長して貰うことで「人手不足の解消」を図ろうとする政策の一環のようです。

 なお、この助成金を検討する際には、同時に2024年10月1日から実施される「社会保険適用拡大」のことも同時に考慮することが必要だと私は思います。2024年10月1日から実施される社会保険の適用拡大とは、既に社会保険に加入している従業員数が51人以上の会社において

①1週間の所定労働時間数が20時間以上、

②報酬の月額が8万8千円以上、

③学生でないこと 他

の条件の全てを満たす従業員は社会保険に加入することが義務となるということです。

 即ち、適用拡大の対象になる会社で2024年10月1日以後も被扶養者でいるために勤務時間数や年収の調整を続けようとすると、①1週20時間未満、又は②報酬月額8万8千円未満となるように調整せざるを得なくなり選択の余地が極めて限られてします。

  10月初旬頃に数社から私に上記助成金に関する問い合わせがあり、丁度、他社でキャリアアップ助成金正社員転換コースのお手伝いをしていましたので、公開された社会保険適用時処遇改善コースのパンフレットを読み、不明点は広島労働局に問い合わせをしていました。

 そして、特にパンフレットで誤解が発生し易いのは、

<1> 従来は勤務時間数が短くなるように調整していたパートタイマーさんが、勤務時間数を延長して社会保険に加入するのに、パンフレット(令和5年10月新設版)P.3~P.4の活用ケースの取組開始前の週勤務時間数と取組後の週勤務時間数とが20時間と同じ時間数になっているので、あたかも社会保険加入の条件(正社員の週所定労働時間数の3/4、一般的には週30時間)がこの助成金を利用することで適用されないかのような記載がなされていること

<2>労働時間延長メニューで4時間未満の延長の場合は、「時間単価(時給)」を上げる必要があるのに「賃金の増額」と記載されているので、勤務時間数延長に伴い支給される賃金(時間単価✖勤務時間数)が増えれば時間単価を上げる必要はないのではないかと誤解される可能性があること(他の資料を読むとそれではダメなことが記載されていますが)

などではないかな? と思いました。

 ただし、まだ私も実務としてこの助成金を取り扱ったことは無いので、この他にも誤解が生じる可能性があるのではないかと考えます。その為、具体的なご相談があれば不明点は必要に応じて労働局に直接問い合わせをしたいと考えています。

 

 

 

労災事故と選択式401K(企業型確定拠出年金)

 老後の生活に備える為に、401K(確定拠出年金)を利用される従業員さんが増えているようです。

 この度、選択式401K(企業型確定拠出年金)制度を採用している会社で約2か月間の休業を要する業務上の労災事故が発生し、その手続きを行った後に労基署から賃金台帳の「退職準備給付」と「給与選択金」とについて確認の電話があり、その説明に手間取りました。個人型確定拠出年金に関する知識はかなり普及しているようですが、企業型確定拠出年金に関する知識はあまり普及して無いらしく労災審査担当者にその知識が不足していたようです。

 企業型確定拠出年金は、会社と保険会社等が契約を締結し、従業員の賃金(通常は基本給)の内の任意の額(最高55,000円)を退職準備給付に設定(就業規則等に記載)すると、従業員は退職準備給付の額の範囲内で確定拠出年金の401K掛金にする金額を月単位で決めることができるようになります。なお、退職準備給付の限度額のうち401K掛金としなかった額は給与選択金として毎月の賃金で支給されます(退職準備給付=401K掛金+給与選択金)。企業型確定拠出年金のメリットは、「401K掛金」で選択した金額が所得税・住民税・(社会保険)標準報酬月額・労働保険の対象外となる為、401K掛金相当額にかかっていた税金分と保険料分が安くなることです(割増賃金の対象にはなるコト、最低賃金法の対象外となるコトには留意が必要です)。これは会社・従業員の双方にとってメリットと言えばそうなると思います。なお、極めて簡単に企業型401K(確定拠出年金)の概要説明をしましたので、詳しくはネット検索でより詳しい情報を確認して下さるようお願い致します。

 今回の事案では従業員さんの希望により「401K掛金」を会社が保険会社に例月通りの額を支払っていました。一方、従業員さんは被災後3日間休業し、4日目から労災保険による休業補償給付が支給される訳ですが、会社は休業の3日間分の賃金をノーワークノーペイの原則に従い賃金(401K掛金を含む)から控除し、休業手当として平均賃金の6割以上を支給されていました。その為、控除した金額の計算式に中に賃金台帳には無い「401K掛金」というのがあり、労災審査担当の労基官が不審に思い確認してきた次第でした。なお、「401K掛金」は労働保険の対象外で平均賃金にも反映されませんから労災事故に伴う休業補償給付の額もその分は少額となります(健康保険の傷病手当金等も同様)。これは選択式401K(企業型確定拠出年金)のディメリットと言えばそうなのですがやむを得ないことだと思います(契約している保険会社パンフレットにもその旨の記載はありました)。

 

評価することの大切さ

 働き方改革が進展し、リ・スキリングが大切と言われる中で、従業員さん達を「評価」し「認める」ことが企業規模にかかわらず非常に大切なことになっています。一方、市場の顧客が激変を続ける中で上司が部下とコミュニケーションする機会が減っています。そこで上司と部下がコミュニケーションする手段の一つとして簡易な選択式の「評価項目リスト(現場向け)」を作成しました。この「評価項目リスト(現場向け)」を使用し、上司と部下が年に1回~2回程度は面談してコミュニケーションを図ってはどうでしょうか? この「評価項目リスト(現場向け)」を利用すれば、短時間で評価項目を選定することができます。

 人間は自分のコトが一番分からないものです。従業員自身は「普通のコトだ」と思っていても上司や会社にとっては「望ましくないコト」、従業員自身は「今のレベルで十分だ」と考えているコトでも上司や会社からすれば「会社や上司の期待水準にまだ到達していない」と判断していることもあります。その為、上司等に自分の言動やレベルを評価してもらうことで、自分の言動やレベルが会社や上司にどのように受け止められているかを知り、また伝える必要があるのではないでしょうか?

 今まで、私は20人~40人規模ならば評価制度など設けなくても日頃のコミュニケーションでそれを補えるものと考えていましたが、飲みにケーションの機会が減り、メールやチャットなどネットを利用したコミュニケーションが増え、また業務ソフトが普及したり作業のロボット化が進展し個人の作業が増えた昨今では対面でコミュニケーションする機会が減り、自分の発した言葉や行動が相手に自分が意図した通りに理解されないケースが増えているようです。因みに、「メラビアンの法則」によるとコミュニケーションは「話しの内容」よりも「声の質・トーン」「見た目や動作・しぐさ」で相手の理解が違うと言いますが、メールやチャット等では「話しの内容」(伝達)しか伝わらないのではないでしょうか?

 従来は評価制度を採用していなかった会社が私に新たに評価制度のご相談をされたとき、今まで私は既成の評価項目を押し付けるのではなく企業文化や業種・業態等を踏まえた会社独自の評価項目リストを作成できるように「その会社の社長(又は実権者)の頭の中には無意識(暗黙知)のうちに評価基準があるから従業員各自の給与等を決めることができている」と考え、その社長(又は実権者)の頭の中にある評価基準を明文化(形式知)することに時間と労力とを費やしていました。しかし、このやり方だと評価項目を形式知にするのにかなりの時間と労力とが必要となっていました。今後も従来のやり方は継続する予定ですが、この時間と労力とを軽減するため簡易な選択式の「評価項目リスト(現場向け)」を作成してみました。これを用いることで暗黙知を手際よく形式知にすることができるようになるのではないかと思います。

 また、「正しい評価制度を創ろうとすることが大切なのではなく、評価制度があるコトが大切なのだ」という名言と「会社は変化に対応し変化しているから評価項目もそれに合わせて変えていく方が良い」という考え方を元に、「無」から正しい評価制度を創ろうとするのではなく、この簡易版選択式評価リスト(現場向け)から始めて経年と共に評価制度をブラシュアップしていけば良いのではないかとも考えています。

  そして留意した方が良いのは「評価するコト」と「給与等を決めるコト」とは異なることであり、「部下に序列をつける為に評価制度を設けるのではなく、部下を育成する為に部下を評価する」と従来とは異なる発想をしてみてはどうでしょうか? 。このような発想をすると評価時に必要なことだと言わる部下との面談が行い易くなるのではないでしょうか? 評価項目は会社の期待値を従業員に伝える手段であり、必ずしも給与等を決める手段ではないと私は考えます。ご希望される場合は賃金テーブル等を作成して評価結果をそれに反映させるルールを作成しますが、私の顧問先でも人事評価はしているが、その結果は給与等を決める際の参考にする程度に止め直接的には反映させない会社があり、そこでは会社運営が極めて上手くいっています。大切なことは「人間は他人に"認められるコト"を好み、"軽んじられたり・無視されたりするコト"を忌避する」傾向があり、それは必ずしも給与等という金銭的なモノである必要は無いということです。みんなの前で「褒める」「賞状や感謝状等を手渡す」など金銭的ないコトでも良いと私は実務で体験しています

因みに、評価項目リスト(現場向け)は以下の項目で構成しています。

 

        ≪ 評価項目の構成 ≫

  < 1 > 会社方針・規則・ルール等の遵守 ( 共通 )

  < 2 > その従業員のスキル評価 ( 共通 )

  < 3 > 行動評価

          3-1. 個人としての行動評価 ( 選択 )

         3-2. 仕事のやり方の評価 ( 選択 )

         3-3. 組織人としての行動(チームワーク・協働)評価 ( 選択 )

  < 4 > 業績の評価 (目標が定められている場合のみ)

 

( 留意点-1 ) 評価するときに注意した方が良い点は、その従業員の「性格 (資質・人格)」ではなくと「行動(発言を含む)」と「スキル(技能)」を評価することだと考えます。

 ( 留意点-2 )<3>行動評価は選択式にしていますが、余り欲張った項目数にすると評価するのが大変な作業となってしまいますから、<3>行動評価の全部で最大7~8項目程度に止めた方が良いと考えます。

( 留意点-3 ) 面談するときは人間の本性を考え「その人の良い点を3点指摘し、その後で改善して貰いたい点を1点指摘する」ことが大切と考えます(欠点指摘型ではなく長所伸長型コミュニケーション)。

 

フレックスタイム制の特例

 「フレックスタイム制の特例」とは、「通達(基発30.09.07第一号)」と「労基法第32条の3 第3項」で定められている内容のことです。

 一般的なフレックスタイム制を誤解を恐れずに簡単に言うと「始業時刻と終業時刻とを従業員に委ね、清算期間(通常1か月、但し清算期間は3か月まで可能ですが話しが複雑になるので、ココでは1か月とします)の法律が定める総労働時間と実労働時間数とを比較して時間外労働時間数を確定させる制度」です。その為には、就業規則でフレックスタイム制に関する規定を定め、労使協定を締結することが必要です(なお、清算期間が1か月を超える場合は労使協定を労基署に届け出ることが必要です)。

 働き方改革の影響をうけて私も数件はフレックスタイム制の手続き(但し、清算期間は全て1か月)をお手伝いしましたが、今回あったご相談は正に「フレックスタイム制の特例」そのものでした。そこで「フレックスタイム制の特例」の説明を簡単にさせて頂くと次のようになります。

 通常のフレックスタイム制では、1か月間の法定総労働時間数の上限は暦日数が31日の月は177.14時間、30日の月は171.42時間となります(暦日数 ÷ 7日 ✖ 40時間)。その為、完全週休二日制で1日の所定労働時間数を8時間と定めている会社が、暦日数30日の月に土日が合計8日(2023年6月など)あるので暦日数から土日を引いた22日(=30日-8日)を所定労働日と定めようとすると、該当月の総所定労働時間数は8時間✖22日=176時間となり、所定労働日の全てを時間外労働なして勤務しても法定総労働時間数 171.42時間の上限を4.58時間上回るため「 4.58時間 」の時間外労働が発生してしまうことになります。「フレックスタイム制の特例」とはこの矛盾を解決した特例で、「完全週休2日制」の会社が「清算期間内の所定労働日数✖8時間を労働時間の限度とする」旨の定めを「労使協定」ですれば、前記の時間外労働4.58時間は時間外労働として取り扱わなくても良くしてくれる特例です。

 「組織はその構成員の自由度を増すほど管理が複雑になる」と言われますが、業務上の都合からフレックスタイム制を導入される企業さまが少なく、その中で完全週休二日制の企業さまは更に少ないので稀にしか発生しない特例ですが、タイムカード集計の誤りがないか再確認の依頼をうけることが多い私としては失念してはならない特例です。

 

 

 

 

 

 

コロナ罹患から適応障害に

 コロナに罹患した従業員が、コロナからは回復したものの1週間程度出勤した後に「適応障害」と診断され休業させることを余儀なくされた会社から相談がありました。コロナ治癒後に適応障害となられたご相談が私にあったのは3人目です。マスコミで報道されたように、コロナ治癒後に適応障害と診断されるケースは増えているようです。

 このような場合、私はコロナ罹患と適応障害の因果関係がよく分かってなく、また本人が短期間出勤した間にハラスメント行為があった可能性もあるので、その可能性を簡易に調べる様にしています。そして、今回の件を調べた処、本人もハラスメントはなかったと証言しハラスメント行為は無かったことが分かりました。

 この会社は、「適応障害」に限らず精神疾患に罹患した従業員への対応は未経験だった為、適応障害と診断された直後に私にご相談があり、私は診断書と就業規則とを見せて頂き、医師が診断書に「2か月間の療養を要す(≒労務提供不可)」と記載し、会社もそれを認めるのであれば休業させる必要があることをお伝えしました。特に、「適応障害」という診断は医師も明確に病状を特定することが難しい状態のときに診断されることが多く、また反復され長期間となる可能性があることもお伝えしました。そして、同時にその後にどのような推移が予想され、またそれに対して会社はどのように対処すべきかをご説明し、このような場合に私がいつもご紹介する高尾式メソッドも提供して、その後の推移を随時私に連絡して頂きたい旨をお伝えしていました。しかし、休業開始時にご相談はあったものの、その後はほとんど連絡が無い為、会社の方から本人に病状の確認をするようにお伝えしていました。

 そして先日、最初の医師の診断書による労務提供不可の期限がくるので再度医師の診断書を提出するよう本人に求めた処、再び2か月間ほど労務提供不可の期間が延長された医師の診断書が提出されたので、その会社は慌てて私にご相談されたようでした。

 そして分かったことは、私が「適応障害により療養を要す」という診断は反復される可能性があることや私が最初にお伝えした会社が対処すべきこと等をほとんど覚えてなく、ただ対処療法(当面発生しているコトにどのように対処したら良いか)だけを考えていらっしゃるようでした。そこで、参考となるであろう書籍の一部を見せながら最初の説明よりは具体的に会社がどのように対処したらよいか次のようなことをお話ししました。

①ご家族の協力を得ながら、本人の病状を把握(と回復)に努めること

②本人には最低でも月1回は連絡し、本人の話しを良く聴くこと

③本人の了解が得られれば、本人同席のもとに医師から直接病状の説明を聞くのが良いが、医師の話しを正しく理解するのは難しく、また医師も個人情報保護の観点からそれを嫌がる傾向が今でもあること。その為、会社が知りたいことを書面にし、本人から医師に提出させて医師に記入してもらうのが良いであろうこと

④本人の病状の程度にもよるが、本人に出来る限り規則正しい生活を過ごすように勧めること

 そして、ある程度は理解された感触があったので私も少し安心しましたが、ご相談に来られた会社の人が酷くヤツレて見えたので、私は「貴殿が適応障害ほかの精神疾患とならないように注意してください」とお伝えした。そうした処、その人は「少人数でやっているので、1人が休業していると他の従業員の仕事量が増え、他の従業員のコトも心配です」と言われていましたので、私は当分の間はこの会社に従来にも増して諸事配慮することにしました。

 

キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース

 キャリアアップ助成金に社会保険適用時処遇改善コースが新設され公開されています。

<A> 社会保険加入義務に関する条件(勤務時間数)

<B> 社会保険の被扶養者になることができる条件(年収)などを考え、

<C> 扶養者の会社が支給する家族手当に関する規定等との関係

から、働く時間数を調整していたパートタイマーさん達に、働く時間数を延長して貰うことで「人手不足の解消」を図ろうとする政策の一環のようです。

 なお、この助成金を検討する際には、同時に2024年10月1日から実施される「社会保険適用拡大」のことも同時に考慮することが必要だと私は思います。2024年10月1日から実施される社会保険の適用拡大とは、既に社会保険に加入している従業員数が51人以上の会社において

①1週間の所定労働時間数が20時間以上、

②報酬の月額が8万8千円以上、

③学生でないこと 他

の条件の全てを満たす従業員は社会保険に加入することが義務となるということです。

 即ち、適用拡大の対象になる会社で2024年10月1日以後も被扶養者でいるために勤務時間数や年収の調整を続けようとすると、①1週20時間未満、又は②報酬月額8万8千円未満となるように調整せざるを得なくなり選択の余地が極めて限られてします。

  10月初旬頃に数社から私に上記助成金に関する問い合わせがあり、丁度、他社でキャリアアップ助成金正社員転換コースのお手伝いをしていましたので、公開された社会保険適用時処遇改善コースのパンフレットを読み、不明点は広島労働局に問い合わせをしていました。

 そして、特にパンフレットで誤解が発生し易いのは、

<1> 従来は勤務時間数が短くなるように調整していたパートタイマーさんが、勤務時間数を延長して社会保険に加入するのに、パンフレット(令和5年10月新設版)P.3~P.4の活用ケースの取組開始前の週勤務時間数と取組後の週勤務時間数とが20時間と同じ時間数になっているので、あたかも社会保険加入の条件(正社員の週所定労働時間数の3/4、一般的には週30時間)がこの助成金を利用することで適用されないかのような記載がなされていること

<2>労働時間延長メニューで4時間未満の延長の場合は、「時間単価(時給)」を上げる必要があるのに「賃金の増額」と記載されているので、勤務時間数延長に伴い支給される賃金(時間単価✖勤務時間数)が増えれば時間単価を上げる必要はないのではないかと誤解される可能性があること(他の資料を読むとそれではダメなことが記載されていますが)

などではないかな? と思いました。

 ただし、まだ私も実務としてこの助成金を取り扱ったことは無いので、この他にも誤解が生じる可能性があるのではないかと考えます。その為、具体的なご相談があれば不明点は必要に応じて労働局に直接問い合わせをしたいと考えています。