フレックスタイム制の特例

 「フレックスタイム制の特例」とは、「通達(基発30.09.07第一号)」と「労基法第32条の3 第3項」で定められている内容のことです。

 一般的なフレックスタイム制を誤解を恐れずに簡単に言うと「始業時刻と終業時刻とを従業員に委ね、清算期間(通常1か月、但し清算期間は3か月まで可能ですが話しが複雑になるので、ココでは1か月とします)の法律が定める総労働時間と実労働時間数とを比較して時間外労働時間数を確定させる制度」です。その為には、就業規則でフレックスタイム制に関する規定を定め、労使協定を締結することが必要です(なお、清算期間が1か月を超える場合は労使協定を労基署に届け出ることが必要です)。

 働き方改革の影響をうけて私も数件はフレックスタイム制の手続き(但し、清算期間は全て1か月)をお手伝いしましたが、今回あったご相談は正に「フレックスタイム制の特例」そのものでした。そこで「フレックスタイム制の特例」の説明を簡単にさせて頂くと次のようになります。

 通常のフレックスタイム制では、1か月間の法定総労働時間数の上限は暦日数が31日の月は177.14時間、30日の月は171.42時間となります(暦日数 ÷ 7日 ✖ 40時間)。その為、完全週休二日制で1日の所定労働時間数を8時間と定めている会社が、暦日数30日の月に土日が合計8日(2023年6月など)あるので暦日数から土日を引いた22日(=30日-8日)を所定労働日と定めようとすると、該当月の総所定労働時間数は8時間✖22日=176時間となり、所定労働日の全てを時間外労働なして勤務しても法定総労働時間数 171.42時間の上限を4.58時間上回るため「 4.58時間 」の時間外労働が発生してしまうことになります。「フレックスタイム制の特例」とはこの矛盾を解決した特例で、「完全週休2日制」の会社が「清算期間内の所定労働日数✖8時間を労働時間の限度とする」旨の定めを「労使協定」ですれば、前記の時間外労働4.58時間は時間外労働として取り扱わなくても良くしてくれる特例です。

 「組織はその構成員の自由度を増すほど管理が複雑になる」と言われますが、業務上の都合からフレックスタイム制を導入される企業さまが少なく、その中で完全週休二日制の企業さまは更に少ないので稀にしか発生しない特例ですが、タイムカード集計の誤りがないか再確認の依頼をうけることが多い私としては失念してはならない特例です。