給与体系の変更と評価制度導入の説明動画

日本版同一労働同一賃金が静かに進行しつつある中で、相変わらず人手不足の状態が続き、また労働基準法も大改正された為、従業員さん達の意識も変わり始め、労務管理のやり方・考え方を今までとは変えざるを得なくなっている現状です。

最近では日本版同一労働同一賃金の観点から給与体系を「職能給」から「職務給」又は「役割給」に変更する必要性が説かれ、また評価制度の重要性も説かれている為、当事務所では給与体系(主に賃金と賞与)の変更と評価制度の導入又は変更に関してお手伝いをさせて頂いています。

私自身は20歳代後半から賃金テーブルや評価制度に関する研修をうけ、その後の約40年間は時代の変化に合わせた賃金テーブルや評価制度の提案を行ってきました。そして、当事務所のミッション「より良い会社になって頂くこと」に基づき、いま現在は次のような手順で給与体系の変更や評価制度の導入又は変更のお手伝いをさせて頂いています。

なお、当事務所では上記のような給与体系の変更や評価制度の導入又は変更とは関係なく、給与計算事務の受託も行っており、その場合は変更すべき点を随時お伝えすることにしています。

 

ステップ <Ⅰ-①>ご依頼された企業さまの組織構造と雇用区分(正社員以外でどんな働き方をしている人達がいるのか?)を教えて頂いた上で、直近の賃金台帳と就業規則とをお預かりし、給与体系変更と評価制度の導入又は変更の「目的」をお尋ねします。その際には、聞いて、聴いて、お訊きします。

また、直近3年~5年の決算書をお預かりして、人件費比率の検討を行い、目的によっては経営分析も行う場合があります。

なお、当事務所では、毎月支給する給与のことを「賃金」と言い、賃金・賞与・退職金の全てを総称する場合に「給与」と言います。

 

ステップ <Ⅰ-②>当事務所が着手する際には、

①賃金支給項目は出来る限りシンプルにしておく方が良いコト、

②日本版同一労働同一賃金の観点から賃金支給項目から属人的な手当(家族手当、住宅手当など)を業務に関連する手当に振替える(又は新設する)方が良いコト、

③これからの時代は「評価制度」が極めて重要な役割を果たす時代になるコト

をお伝えさせて頂いています。

 

ステップ<Ⅱ>現行の諸手当で日本版同一労働同一賃金の観点から将来の火種になりかねない諸手当について検討します(なお、必要な場合は就業規則を変更します)。

 

ステップ<Ⅲ>現行の賃金のプロット図(分布図)を作成し、企業さまから賃金格差の理由を教えて頂きます。

 

ステップ<Ⅳ>ご依頼された企業の担当者さまと一緒に、部門・職位ごとにそれぞれの「役割」をある程度明確にしていきます(P.F.ドラッカー翁の言われる組織図にあたるものです)。なお、ご希望される場合は「職務分析」も行いますが、「職務分析」するには異常な時間と労力が必要であり、職務分析に基づく職務給は一部の業種を除いて日本的労務管理に馴染みにくく、更には欧米でも(脱)職務給が普及し始めていることでもあり、また更に変化の激しい現代では「職務の内容」も変化していくことが多いため、それよりもザックリとした「役割分析」に留める場合が大半です。そして、その際には各職位の有する「権限」もある程度明確にします。

 

ステップ<Ⅴ>前記<Ⅲ>でお聴きした賃金格差の理由を参考にしながら<Ⅳ>で決めた「役割」を踏まえて企業の担当者さまと一緒になって人事評価表を作成します。

人事評価の項目は、

①基礎的評価 (法令・社内規則等の遵守を評価)、

②行動評価 (プロセスを評価)、

③業績評価 (結果を評価)

の3つの中分類で構成されます。

そして、評価項目は各期の企業の戦略/戦術/方針等を反映し、それらに合わせて毎期ごとに変更できるように定めます。

また、ご依頼いただいた企業さまの実態に合わせて②行動評価と③業績評価を更に小分類に分けた評価項目とすることもあります。

 

ステップ<Ⅵ-①>作成した人事評価表を用いて上司による評価の社内練習を3回~4回程度は行います。そして必要な場合は評価項目を修正していきます。

 

ステップ<Ⅵ-②>ご依頼いただいた企業さまの要望と実態に合わせて当事務所の賃金テーブルひな型を加工します。

当事務所で創る賃金テーブルの基本は「人事評価」により昇給額(又は減給額)が決まる仕組みですが、企業さまから年功的賃金の要素も残すようにご依頼がある場合は、評価表と賃金テーブルをリンクさせる仕組みを企業さまのご要望に沿えるように繰り返し変更していきます。

また、ご依頼がある場合には前記<Ⅳ>で作成した役割分担表を基にして、正社員との均衡性を考慮しながらパート社員や有期雇用契約社員達(非正規雇用社員と言います)の賃金テーブルも作成します。なお、非正規雇用社員用の賃金テーブルを作成する場合は、ステップ<Ⅳ>の段階で、非正規雇用社員用の評価表も作成することになります。

 

ステップ<Ⅶ>前記<Ⅵ-①>の最終評価を<Ⅵ-②>の賃金テーブルで運用し、評価結果がどのようになるのかを見える化(グラフ化)し、会社で検討して頂きます。

 

ステップ<Ⅷ>人事評価表と賃金テーブルに関して同意して頂けましたら、実際に試行運用を開始します。

 

ステップ<Ⅸ>「賞与」の決定方法について検討します。なお、支給額決定方法については「ポイント式」をお勧めし、協議したうえで決定します。なお、その際には経営の安全性を担保する為に、賞与は人件費予算額から既に支払った人件費を引いた金額を賞与支給源資とされる(付加価値分配方式に類するモノ)ようお勧めもします。この段階で、経営に関する計画又は予算を立案されてない場合はそれらを作成するお手伝いをさせて頂く事もあります。

ただし、ご依頼いただいた企業さまが「賞与」は従来通り基本給に対し倍率を乗じて決められることを選好される場合は基本給倍率方式とします。

 

ステップ<Ⅹ>評価と賃金テーブルの運用がその会社の人事労務担当者さまだけで運用できるよう練習して頂きます。

 

ステップ<Ⅺ>その後1~3年の間、当初期待された成果が上がっているか?、また不具合は無いか?を調べ、必要に応じて評価表と賃金テーブルとを修正していきます。なお、当事務所が最も重要と考えているのステップ<Ⅴ>で創る人事評価表です。

 

以上が村上社会保険労務士事務所がそ給与体系の変更と評価制度の導入又は変更する基本的な手順ですが、この度は某企業さまのご依頼により「変更した"給与体系"と"評価制度"の仕組みを従業員さんに説明するための動画」を準備させて頂きました。基本的に村上社会保険労務士事務所は(現地現物現場主義のため)対面でご説明するのですが、この企業さまは24時間3交代制のシフトで業務が行われているので従業員さん達が一同に会して説明会を開催するのが難しい為、動画を私から企業さまにTeamsで提供し、企業さまがTeamsからダウンロードされ社内イントラネット等にアップロードされると、従業員さんが都合の良い時にアクセスして下されば、いつでも動画を閲覧して新しい給与体系と評価制度の仕組みの説明を受けることが出来る様にすることが目的です。

この「動画を活用して説明する方法」は、今年3月~4月頃に各社で育児介護休業法改正の説明をさせて頂いた際に、各社で同じ説明をすることが必要となり、その時に痛感したことから今回初めて動画による説明を試みた次第です。