時効

民法改正が検討されている中で、「時効」に関して大幅に変更されると聞いています。

しかし、社会保険労務士として普段の仕事をしているときに「時効」を意識することは余りなく、研修会等で学習するとき位しか「時効」の問題には接しません。

そんな日常業務の中で、今日は「時効」を意識せざるを得ないご依頼がありました。

今から2年ほど前に交通事故で大怪我をされ、その後相手方と話し合いを続けていた人からのご依頼です。当初は「保険会社が話しをつけてくれる」というので、また過失割合が「100」対「0」くらいの被害者でしたので安易に構えられていました。事故後、数か月して保険会社が和解(示談)を諦め、弁護士が介入することになりました。その後、弁護士同士が交渉を重ねられているようですが、未だに和解が成立せず、いよいよ裁判として提訴するようです。

私は事故直後に「和解が成立しないこともあり得るから、取り敢えず健康保険の傷病手当金の手続きをしておくこと」をお勧めしたのですが、「保険会社と弁護士に依頼をするから大丈夫」と言われ、また「もし長引くようなら弁護士が傷病手当金の手続きをすると言っている」と言われて手続きすることを拒まれました。ところが今日になって、「弁護士が傷病手当金の手続きのやり方が分からないと言って申請書類を返却してきたから村上さんの方でやってくれ」という依頼がありました。

何もその後いわれないから私はてっきり和解が成立し解決したものと考えていたので、事故の内容はうろ覚えの状態でしたが、依頼者から提供された傷病手当金の申請用紙に記載された事故日を見てビックリです。事故日は3月初旬です。今日から数日しかユトリがありません。しかも傷病手当金支給申請書も第三者行為災害の届出用紙も旧様式で、しかも不備が目立ちました。

このご依頼が舞い込んだので、今日のその後の予定は全てキャンセルして、あわてて"けんぽ協会"に電話連絡を入れ、時効に間に合うよう処理する打ち合わせをする羽目になりました。

それにしても、安易に構えていた被害者もさることながら、"できます""やります"と言って引き受けた弁護士もいい加減なものです。交渉の途中経過を考慮しながら、もっと適切なときに傷病手当金の手続きを行えなかったのでしょうか? 時効直前になって"やり方が分からない"と言い始めるなどプロとして言語道断だと私は考えます。