事業再生の依頼

8月に就業規則を変更して説明会を行った会社の社長さんから、会社を再建するため本格的に取り組みたいので協力してもらいたいという依頼がありました。8月に就業規則の変更を行い、従業員さんたちに説明会を開催するまで、約2カ月間に渡りこの社長とは経営に関して色々な話しをさせていただきました。2カ月間に特別な変化は社長になく、また就業規則の説明会が無事に終了したので、これで私とこの会社とのご縁も終わりかな?と思っていたら、約2週間後にこのご依頼がありました。社長さんも色々と悩み考えられたようです。

銀行から元利金返済猶予(リスケ)で支援してもらっても利益が出ず、従業員の賃金は広島県最低賃金並、月によっては賃金の支払いが遅れることもあり、やる気のある従業員は既に辞めてしまっており従業員のモラールは最低の状態で、資金が不足するときは社長が身銭をつぎ込んでいる状態です。

私との会話で「今までと違うことを何もせず、ただ景気を良くなるのを待っていても、昔しと違って会社の景気が良くなることはありません。顧客の期待・要望が変わってしまったのですから、会社としてもそれに合わせて変わることが必要です。昨年と同じことをやっていたらジリ貧になるのが当たり前の時代なのです。変わるのが嫌なら廃業するのが最も効果的な方法です。」とお話ししたのがこの社長の琴線に引っかかったようです。

基本的には解雇や不動産の売却等の劇的な措置は避けたいのですが、この会社の現状を考えると、それもやむを得ないかもしれません。急いで再生計画を立案することが必要です。如何せん、メイン銀行からリスケを次回更新することを断られ、アカラサマに「人員削減」を要求された現状ですから・・・。

そして資金が枯渇し企業体力は消耗し切っていますから、大胆な営業施策も講じられない状況です。

「魚は頭から腐る」と昔しから言われます。そのため、事業再生に取り組む為には、まずトップが気づき、本気にならなければ何をしても効果が出ないのです。しかし、この会社のトップは何か気づいたようです。そして本気のようです。メイン銀行から過去5年間に渡りリスケで支援して貰っていたのに、銀行が勧める事業再生策を何も実行してこなかったことを深く反省されていました。

合理的に考えると廃業した方が良いと考えられる状況ですが、社長が事業継続を希望していますから、成功する保証はできませんが生き延びる道を社長と一緒になって見つけ出していきたいと考えています。そして、具体的な施策と優先順位は現状分析を再度行ってからにするにしても、まずは人心を一つに纏めることから始めることが必要だと私は考えています。