マインド・マップ

前期に過去最高益を出した会社の今年4月の社内営業会議で、今年の事業計画が発表された際に私は「総花的で、とても戦略や計画と呼べるモノではない。現在の経営環境は競争が激化しているから、そんな生易しい事業計画では実現できないから計画を再検討すべきです」と酷評しました。そして「昔しから"勝って兜の緒を締めよ!!"と言いますが、儲かった利益をどう使うかが大切なことです。利益の使い方次第で会社の3年後、5年後が決まります」ともお話ししました。

その後、この会社とミーティングを重ねてきましたが、やっとのことで今年の事業計画が出来上がりました(2カ月遅れ)。

この会社で事業計画が総花的になっていた真因は、社長の考え方・話し方にあったようでした。率先垂範型・俊敏機敏な行動を求める社長さんの性格が原因となり、また事業意欲が旺盛な社長さんですから、色々なことを社員さん達に相談・指示していました。そして、社員さん達は色々なコトを社長から相談・指示されるものだから、"社長が本当はどうしたいのか?"ということが理解できずに消化不良の状態になっていました。その結果、全てが中途半端になる傾向が窺えました。

そこで私は社長に「社員さん達は社長の"考えているコト"がよく理解できていないようです。マインド・マップという手法がありますから、その手法で社長の"考えているコト"を紙に書き出して会議室に張り出し社員さん達が自由に見ることができる状態にしてください。そして、このマインド・マップは"1回書いたら終わり"というのではなく、社長さんが毎日追記したり削除したりしてください。社長の考えているコトが社員さん達に分かるようにすることが目的です」と依頼しました。

俊敏機敏さを好む社長さんだけに10日後には書き出されたマインド・マップが会議室に張り出され、その後は私が行く度に多少は変化し続けていました(社長自身が加筆しているようです)。それは、マインド・マップの教科書通りとは言えないモノ(原理原則は守られているが)でしたが、社員さん達に社長が考えているコトを理解してもらう為の道具としては十分な役割を果たすものでした。

そして、それと同時に幹部社員さんには事業計画の作り方・考え方を私は教えて、社長のマインド・マップを看て訊いて、自分達で創る(私は方法論を助言する)ように指導しました。

その結果、やっと出来上がったのです。その事業計画書は銀行マンが描くような緻密なモノではありませんが、実態に則しチャレンジすれば実現可能な内容の濃いモノです。「計画や戦略は無くてはならないモノである。しかし、それらは緻密である必要はない。それらを緻密に創ろうとして無為に時間を費やすよりも、まず行動を始めて目標に向けて緻密に修正することが大切である」というのが村上流のやり方です。

そうした処、この会社の社長さんは昨日から既に北海道に事業用地視察のため出張に行かれていました。流石に行動力があります。幹部社員さんから聴いた処によると、事業計画が半ば出来上がった段階で社長さんは不動産屋に打診を開始していたようでした。