和解への道しるべ

年末迫った時に、元従業員の委任をもとに弁護士が未払賃金を請求してきた会社があります。

請求金額の根拠となっているタイムカード集計の内容を確認した処、

①労基法施行規則第25条の2で認められている1週44時間労働制を考慮していない。

②1カ月単位の変形労働制を採用している企業なのに、その点を考慮せずに集計している。

③見込残業代を給与の中に含んで支給しているのに、その点を考慮していない。

などにより、先方弁護士のタイムカード集計にかなりの誤りがあることが分かりました。

そこで、昨晩と今日とで、私が正しく集計し直すことになりました。

先方の弁護士は「直ちに支払え!!」と請求していますが、慌てることはありません。しかし、悠長にしていると遅延損害金を多額請求されますので、慌てずに速やかに(冷静に)、会社としての基本方針を出す必要があります。

そこで早速、会社側の弁護士事務所に社長ほかの関係者が集まり、私が集計した資料を元に協議をしました。そして「時間とお金をかけて裁判をし、しかもその間の心労を考えると、基本的には裁判を避け和解する」という結論に至り、弁護士同士で和解案をつくることになりました。賢明な結論だと考えます。過去、未払賃金で裁判をした会社も、裁判開始から1年半以上経過した段階で「もう裁判は嫌だ。和解する」と言い出しまし和解しました。そのときの社長が「我を張らずに最初から和解していれば、無駄な時間と費用を使わずに、しかも和解金も安く済んだのに・・・」と反省していました。

私は「主張すべきことは主張すべき」と考えます。しかし、相手側にも主張したいことがありますから、いつまでも我を張らず、また裁判の判決に頼らず、どこかの時点で和解する方が賢明な策だと考えます(この駆け引きが難しい)。

兵法にも、「勝兵は先ず勝ちて、しかる後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて、しかる後に勝ちを求む」とあります。そして、裁判では「勝つ戦さよりも、負けない戦さを心がけるべき」と言います。未払賃金の紛争で言えば、仮に会社側が勝ったとしても会社が得るものは何もありません(負債の発生を防げますが、その間に発生する金銭的・時間的費用と心労とを考えると、争うことが必ずしも得策とは言えません)。そこで必要なことは、主張すべきことは主張して、相手側からの請求金額を減額させ、頃合いを見計らって和解し、裁判を避けることだと思います。

今回の結論は良い結論なのですが、お蔭で私は今年のクリスマスを振り回されてしまいました。今年は明日27日で役所が終わりだから、明日1日でどこまで遅れた仕事を取り戻せるかナ?