36協定 特別条項 違反

昨日、ある顧問先から「36協定の特別条項の届出はしているのだが、年間6回の制約を超えて45時間超の残業を指示できないか?」というご質問がありました。会社に伺いしてタイムカードを拝見した処、確かに今年になって既に6回ほど月45時間超の残業を行っている人が数名いました。

そこで、「他の従業員(まだ年間6回の45時間超の残業をしていない人)に残業を命じられないか?」と訊いた処、「特殊な技術と熟練を要する仕事(どちらかというと天性の能力的なもの)なので他の人達では出来ない仕事である」という回答でした。

また「残業としてではなく法定休日に仕事をさせることは無理なのか?」と尋ねた処、「既にそうしている」との回答でした。また、その人達が携わる生産ラインは流れ作業でやっているので、その人達が生産を止めると他の工程が遊んでしまうことになるのが実体だそうです。

この会社では、特別条項として「年6回までは月150時間までは時間外労働を労使協議のうえで命じる」と届出してありました。

月150時間超の残業は無い状態でしたが、月45時間超の残業は既に年間6回させていましたので、この会社は年間6回の制約をなんとかしたいという考えなのです。

しかし、年6回の制約は労基署の基準として定められたものですから覆す訳にはいきません。

そこで私は

①「36協定特別条項は"臨時の場合""やむを得ない場合"に適用できるものであるのに対して、貴社の長時間残業は常態となってしまっているから、書籍ザ・ゴールにある制約条件の理論を元に工場全体の生産方法の改善を行い残業時間数削減の努力をすること」

②「長時間労働問題は健康障害との関係から重要視されている訳だから、産業医との面談を含めて従業員の健康状態に対する配慮の仕組みを充実させて長時間労働に伴う健康障害発生の事前防止に勤めること」

の2点を今後の業務改善計画の主眼とするようにお勧めしました。

このような「特殊技術を持つ人の残業」と「法律による制約」との関係は頭の痛くなる問題ですが、今後なんとか突破口を見つけ出していくしかありません。