取締役の社会保険加入義務

昨日、ある企業から「当社の会長が、吸収合併した企業の代表取締役社長に就任しました。社会保険は社長に就任した企業でも加入しなければならないのでしょうか(2以上勤務者のこと)?」という相談を頂きお伺いしました。会長の元からの会社の報酬が標準報酬月額の上限を上回っていれば2以上勤務者となっても保険料は変わらないのですが(この場合でも2以上勤務者の手続きは必要)、会長となっている元々の会社で昨年6月に代表権を無くした際に大幅な報酬減額をしたため標準報酬月額の上限を下回っており、もし2以上勤務者となると再び保険料が上がることになるのです。

そこで会長の従来からの会社での勤務実態をお聴きした処、

①従来からの会社の代表権は昨年6月に無くして(息子の社長だけを代表取締役にして)、いまはほとんど会社の仕事はせずに公職ばかりをしていること

②そのため会長の出勤は間々ならず、週30時間未満であること(=非常勤の一般取締役)

③いまは会社経営のことも社長に任せ、社長から要請があったときだけしか意見を述べていないこと

がわかりました。これだと非常勤役員です。従って、報酬額には関係なく社会保険に加入する義務は発生しません。丁度、私は5月に類似した相談を他社からうけたので、念のために広島西年金事務所に行って「取締役を社会保険に加入させるべき要件チェック項目」を入手していましたので、そのチェック表に従い会社の人と一緒に判断していきました。

しかし、吸収し会長が代表取締役社長に就任した会社では、仮にほとんど出勤していなくとも代表取締役社長である限りは社会保険に加入しなければなりません。

そこで、元からの会社(吸収した会社)は本来会長に代表権がなく非常勤となったときから社会保険に加入せる義務が無いのに加入せていたことになること、一方、新しい会社(吸収さされた会社)では代表取締役社長に就任していますから、実態として勤務時間数が週30時間未満でも社会保険に加入させなければ違法となることを伝え、元の会社の社会保険の資格を喪失させ、吸収した会社で社会保険に加入するようにお勧めしました。こうすれば2以上勤務者とはならず新しい会社からの報酬に対してだけ保険料が決定されますから、2以上勤務者になった場合と比較すると保険料はそんなに増えずに済みます。

ただし、元の会社ではなく新しい会社の健康保険証となることにご本人が心理的に抵抗しないかどうかは別の問題ですが・・・・・。