65歳以上の人の雇用と雇用保険加入

<注意>この記事は平成25年6月3日に投稿した記事です。平成29年1月1日からは雇用保険法が改正され65歳以上の人も雇用保険に加入しなければならなくなりましたのでご注意ください。

 

昨日、顧問先の責任者として満66歳の人が新たに雇用された入社手続きを行いしまた。

健康保険と厚生年金は65歳以上でも会社に勤務する場合は加入しなければなりません(厚生年金は70歳まで、健康保険は75歳まで)が、雇用保険は65歳以降に新たな会社に雇用された場合は加入できません。健康保険は本人も加入を希望していましたのでスムースに手続き書類の説明が終わりましたが、雇用保険の説明はそうはいきませんでした。

雇用保険に関して、前の会社の総務の人が「再就職して6カ月以上雇用保険に加入していると高年齢求職者給付金が貰えるようになります」と片手落ちの説明していたので本人はどうしても雇用保険に加入したいと言い張るのです。しかし、雇用保険法第6条で「65歳に達した日以後に新たな事業主に雇用される者には雇用保険を適用しない(但し、65歳以前から同一の事業主に雇用されている者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者を除く)」とされ雇用保険が適用されないので、65歳以後に新しい事業主に新たに雇用された人は雇用保険には加入できないのです。

ご本人にこのことを説明しても信じようとはせず「前の会社の総務が加入できると言った」と繰り返してばかりいて、結局は月曜日に本人が前の会社経由でハローワークに確認してみるということになりました。

ご本人は「高年齢求職者給付金」を貰えるようにしたいとの思いがあるようなのですが、65歳を越えて前の会社を辞め、その後新しい会社に入社すると、失業の状態ではなくなるので、この給付金(一時金)を新しい会社に入社する前に受給しておかないと、65歳以降に入社した新しい会社では雇用保険に加入できず、また失業の状態でも無くなるため、この給付金が貰えなくなってしまうのです。ということは、それまで前の会社で掛けていた雇用保険料が掛け捨てとなってしまうということになります。ただし、高年齢求職者給付金は退職した時点での年齢で失業保険かこの給付金かの判断がなされ、この給付金の対象者であると失業保険の場合のように11日以上出勤した月が「12カ月」ではなく「6カ月」あれば受給できるということになります。この人の前の会社の総務の人は、この点をこの人に伝えたのではないかと想像します。

また余談ですが、丁度、労働保険申告のシーズンなので確認しておくと、4月1日時点で64歳の人はその後は雇用保険料を支払わなくても良くなります。一方、雇用保険には65歳までの人は加入できますから、その結果、64歳以上65歳未満の人を新たに雇い入れると、新しい会社では雇用保険には加入させるが雇用保険料は支払わなくても良い(本人の賃金・賞与からも控除しない)という状態になります。

 

 

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コメント: 3
  • #1

    (火曜日, 17 1月 2017 13:32)

    今年から65歳以上も雇用保険加入が必須

  • #2

    青木 久 (水曜日, 25 4月 2018 19:32)

    65才前から同じ会社に
    勤めていますが65才から雇用保険が引かれていません、フルタイム勤務で厚生年金保険料そのその他は変わりなく引かれています。どういう事でしょうか・?

  • #3

    村上公政 (水曜日, 25 4月 2018 20:42)

    法律により、4月1日時点で満64歳以上になっている人からは雇用保険料は徴収しないことになっています。そして、平成29年1月1日以後は65歳以上の人も雇用保険に加入しなければならなくなりましたが、これらの人達は雇用保険には加入しているけど雇用保険料は徴収されません。ただし、将来は変更される可能性があります。
    また、会社に勤務していると、厚生年金保険料は70歳まで、健康保険料は75歳まで徴収されます。これも法律によるものです。