出産予定者のわがまま

いま出産予定者は手厚く法律で保護されています。しかし、そのため勘違いする社員も出ています。

ある会社の出産予定者は、育児休業後に職場復帰かることを希望していました。しかし、同時に自分が休業する間のために新卒者を募集するように社長に働きかけていました。

この相談を社長から受けた時に「アレ?何か変だな!! 育児休業後に職場復帰して、この社員は何をするつもりなのかな? 新卒者を入社させ、それまでその人がやっていた仕事を新卒者がやるようになると、その人の仕事は無くなるし、その人が職場復帰したというので新卒者を解雇する訳にはいかないし・・」と思い、社長にその社員に率直に「育児休業後にどうするつもりなのか?」を訊くように勧めました。そうすると意外な思惑がわかったのです。

自分が今やっている仕事のうち医療事務は育休後も続けるが、出納事務は嫌いだからやりたくないので新卒者にさせるという思惑だったのです。しかし、これでは一人分の仕事を二人でやることになり、会社としてはたまりません。 このまま、この社員の言うように新卒者を雇い入れたら、この社員が職場復帰して通常勤務するようになったときに紛争が発生するか、会社が本人の希望を認めざるを得ない状態となってしてしまいます。

そこで、新卒者募集をする前に、その従業員に「自分勝手に自分の仕事内容を変更して一人分の仕事を二人でするのだと、あなたはパートタイマーとなるか、会社を辞めるしか方法はありませんが、どうするのかよく考えて結論を出してください」とお話しするように勧めました。この社長は既に3人ほど育児休業者を経験し、いずれも職場復帰させていますから、育児休業には慣れているので職場復帰後には残業を避けるなどして育児に協力的なのですが、このように勝手に自分の仕事を変更しようとする社員は初めてのようです(私のように労働紛争解決をお手伝いしていると、たまに出くわします)。

いずれにしても、紛争を予防するためにも、出来る限り事前によく話し合いをしてもらうことが大切であり、新卒者募集でなくても中途採用でも良いし、育休代替要員の募集でも良いのだ(寧ろ中途採用者や育休代替要員の方が即戦力になるから良い)と私は思っています。

この状態のことを「社長が社員に舐められている状態」の一例と私は考えます。