就業規則の変更

平成31年4月に行われた労働基準法、労働安全衛生法などの変更に関して各社に個別説明することが6月頃までに終わり、それ以後は各社の実態を踏まえて日本版同一労働同一賃金に関する法改正を視野に入れた各社の就業規則変更に翻弄する日々が続いています(8月には少々厄介な労働紛争に振り回されましたが・・・)。

総じて私が感じるのは、「年次有給休暇」に関する法改正に対応する就業規則変更は各社ともスムースに受入れらる傾向が強いのですが、「長時間労働の規制」と「日本版同一労働同一賃金(不合理な格差是正)」に関しては可成りの抵抗感があるようです。

今まで余り問題にもされなかったことが「否」とされ、皆さんどうしても無意識のうちに「いままでのやり方・考え方を変えたくない」という保身心理が働く為か、就業規則変更にかなり手間取ります。特に、「日本版同一労働同一賃金(不合理な格差是正)」に関しては「均衡」と「均等」の考え方を理解するのが難しいらしく、また法改正の根拠となった各種判例を読んでも、判決だけを読んで判決の前提となった部分を読んでいない場合が多いことが一層の困惑を招いているようです。そして更に、
・「裸の王さま」(自社の本当の姿が正しく理解できていない)

・「ドンキホーテ」(何かをされようとしているが、それが自社にとって法的に正しい方向となっていない)

の状態に陥っているトップも見受けられます。この状態に陥るのを防ぐ為には、

①「目的は明確か?」「手段は最適か?」と自問自答し

②必要な場合には、経営改善計画をつくること

が必要ではないかと考えます。

その為、最悪の場合は法の施行に間に合うように、仕事のやり方・考え方を段階的に変えて頂き、就業規則も段階的に変更せざるを得ない場合も発生しています(このときに助成金を利用します)。会社によっては、給与体系さえも一から構築し直さなければならない企業もあります。

また、このような状況のときには、専門家に訊いた上で、自社の新しいやり方・考え方を創りあげることが一番の早道であるのではないかと私は考えます。

早目に「仕事のやり方」と「給与体系(賞与・退職金を含む)」の見直しを行い、就業規則の変更に着手した方が良いと考えます。