年次有給休暇の残日数が最高60日に!!

労働基準法の改正があった為、年次有給休暇を基準日から1年以内に5日以上取得させなければならなくなりました(時季指定義務と言われています)。

この為、従来は法律通りで年次有給休暇を付与・管理していた企業では、入社日に応じて各従業員ごとに基準日からの1年間が異なることになり管理が煩雑となります。

その為、一斉付与方式(入社日に関わりなく、会社が定めた日に全従業員一斉(一部例外あり)に年次有給休暇を付与するやり方)に変更することで、年次有給休暇時季指定義務の管理を単純化することを私はお勧めしています。

しかし、各社のご相談に応じていて、次の点には充分に注意する必要があると思いました。

例えば、タイムカードの締日が毎月20日の会社に、平成26年11月4日に入社した従業員がいて、この会社が令和元年7月21日から年次有給休暇を一斉付与方式に変更しようとした場合(この従業員さんが年次有給休暇を全く取得していなかったと仮定します)、

①平成26年11月4日に入社

②平成27年5月4日に、10日の年次有給休暇を付与(平成29年5月3日時効消滅)

③平成28年5月4日に、11日の年次有給休暇を付与(平成30年5月3日時効消滅)

④平成29年5月4日に、12日の年次有給休暇を付与(平成31年(令和1年)5月3日時効消滅)

⑤平成30年5月4日に、14日の年次有給休暇を付与(平成32年(令和2年)5月3日時効消滅)

⑥平成31年5月4日に、16日の年次有給休暇を付与

⑦平成31年7月21日(一斉付与日)に、18日の年次有給休暇を付与

ということになりますから、

(a)平成31年(令和元年)7月21日から平成32年(令和2年)5月3日までの間の年次有給休暇の残日数(年次有給休暇を取得し得る日数)は⑤+⑥+⑦で「48日

(b)平成32年(令和2年)5月4日から同年7月までの年次有給休暇の残日数は「34日」

ということになります。

そして次に別な事例を挙げると、平成30年5月4日現在で6年6か月以上継続勤務している従業員さんの場合は、前記(a)「48日」が「60日」となります。

ここで問題なのは、「年次有給休暇の残日数は最高40日」と覚えていらっしゃる総務担当者が多いコトです。前提条件となる「時効により2年間で消滅する」という点が吹っ飛んでしまっているのです。その為、年次有給休暇の一斉付与方式を新たに導入されようとする企業の総務担当者には充分に説明をする必要があります。

そして更に、前記の事例でいうと(a)で「48日」あった年次有給休暇の残日数が、従業員さんが年次有給休暇を取得しなくても(b)では「34日」に減ってしまいます。その為、従業員さんにも十分に説明をする必要があります。