年次有給休暇時季指定義務、時間外労働上限規制の説明マニュアル

労基法が今年4月1日から改正施行されるためか、年次有給休暇の時季指定義務に関す

るお問合せが急増しています。

中小企業、個人事業主様等からは、専ら年次有給休暇の時季指定義務に関するお問合

せであり、大企業さまからは年次有給休暇に関するお問合せだけでなく時間外労働上

限規制と有期雇用契約従業員の処遇格差説明責任に関するお問合せが同時にありま

す。

一番多い勘違いは、改正後の法律の対象となる時期に関する点のようです。4月1日の

法施行と同時に各社とも年次有給休暇時季指定義務及び時間外労働上限規制の対象

となると誤解されている企業さまが多いようです。

年次有給休暇時季指定義務の対象となるのは、平成31年(2019年)4月1日以後に最初に

年次有給休暇を10日以上付与した日からです

時間外労働上限規制の対象となるのは、届出する36協定に記載されている対象期間の

全ての期間が平成31年4月1日以降の場合に、その新しい36協定の起算日から対象とな

ります。

例えば、今まで9月21日に36協定を届出し、年次有給休暇も9月21日に全員に一斉付与

している大企業さまの場合は、平成31年(2019年)9月20日までは両方の法改正ともに対

象外であり、今回の法改正は同年9月21日以降が対象となります。

しかし、特に時間外労働の上限規制を遵守しようとすると、得てして従来からの仕事

のやり方や社内の慣習を変えることが必要となる場合が多いため、早めに時間外労働

の削減に着手して、法律が適用される前に社内体制・仕事のやり方・社内意識等を

させておくことが大切です。

そして、意外な盲点は、年次有給休暇の時季指定義務を遂行するためには、就業規則

の一部を変更しておかなければ会社が時季指定できないという点です。

また、昨年末ギリギリの日に新しい通達が発せられ、中途入社の人に関する年次有給

休暇の端数処理の件も明確になりましたが、この点に関しても就業規則を部分変更し

ておいた方が良いようです。

そして更に、有期雇用契約従業員の処遇格差説明責任と日本版同一労働同一賃金に関

するお問合せ件数は少ないのですが、これに対する対策も出来る限り早く講じておく

方が無難です。何故なら、改正後の法律が適用されるまでには日数のユトリがありま

すが、もし万が一、不幸にも訴訟(裁判)となったときには、九分九厘の確率で敗訴して

しまう危険が潜んでいるからです。

いずれにしても、昨年中に何度も出張してセミナーを受講し、私が説明し易いマニュ

アルを予め作成していたのが幸いして、今の処はスムースに各社への説明を行うこと

ができています。