介護職員 処遇改善加算 と 残業代計算

 介護施設で処遇改善加算を利用している施設は多いと思います。手続きは少々煩雑ですが、これを利用すると市(行政)から貰えるお金で職員さん達の給与を増やすことができる訳ですから、求人難の昨今において利用しない手は無いと考える処です。

ところで、この処遇改善加算は残業代など割増賃金を計算する際の計算根拠に含めるべきか否か? こんなご質問がありましので調べてみました。

 私は昨年夏に全国社会保険労務士会主催の介護施設労務管理研修を東京まで出張して受講しましたが、そのときは「処遇改善加算を介護施設に推奨するように!! 」と複数の講師から話しはあったのですが、この点に関して明確な指導はなかったのです。

そのときの講師の話しでは、毎月支払っても良いし、賞与として支払っても問題はないということでした。研修会のときには、特に私は疑問を抱かなかったのですが、賞与で支払うと残業代等の割増賃金の対象とはなりませんが、毎月支払うとどうなるのか? そして色々と調べた結果、色々なケースがあるので全国社会保険労務士会に問い合わせてみました。

 回答が返ってくるまで日数が必要でしたが、その結果は「労働基準法の原点に戻れ!!」ということでした。労基法第37条では、割増賃金の算定基礎から除外して良いモノを限定列記してあります。その中で、「臨時に支払われた賃金」と「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」は割増賃金の算定基礎から除外して良いと定められています。

 そのため、処遇改善加算を①賞与として支払った場合、②毎月ではなく(例えば2ヶ月毎に)支払った場合は残業代などの割増賃金の算定基礎から除外することができる。

しかし、毎月支払う場合は残業代等の割増賃金の算定基礎に含めて計算しなければならない。

 私にお問合せされた介護施設では、職員さん達の生活を改善し安定したモノとする為に、毎月一定額を支払われていました。これでは残業代等の割増賃金の算定根拠に含めなければならないことは明確です。この施設では色々と協議された結果、「やはり職員さん達の生活を安定させるために、残業代の対象になるとしても、今後も毎月一定額を支払う」ということで結論を出されました。

 蛇足ながら、今後は保母さん達にも処遇改善加算が支給されるようですが混乱が起きなければ良いのですが!!