昨日のことですが、突然に電話で「解雇した従業員と裁判で争って負けてしまった。今後、どうすれば良いかアドバイスして貰いたい」という依頼がありました。
会社にお伺いしてお話しを聞いた処、「平成24年××月に従業員を解雇(普通解雇)し、その従業員と裁判で争っていたのだが、結局、会社が負けてしまった。これ以上、控訴するつもりは無い。」ということでした。通常ですと、裁判の後始末に関しても会社側弁護士が判決に従い色々とアドバイスをしてくれる筈なのですが、その弁護士はこの会社が裁判中に余りにも弁護士の助言を無視したので、この会社にはサジを投げたようで、全く相談に応じてくれず、会社も困って縁の無い私に相談してきた次第でした。
私は弁護士ではありませんから、弁護士法に抵触しない為に裁判に関して余り突っ込んだアドバイスをする訳にはいきません。しかし、まず会社がやるべきこととしては、
①本人に復職する意思があるか無いかを確認し、復職する意思があるのであれば何日から職場に復帰したいのかを文書で尋ねること
②判決に従い、解雇後の賃金相当額を計算して早急に支払うこと(遅くとも判決後1カ月以内に支払う)
③支払い済みの退職金は返金してもらうこと
④本人に復職する意思があるのであれば、ハローワークと年金事務所で既に行った資格喪失手続きを「取消す手続き」をすること(本人が失業保険を受給していた場合、本人は後日に失業保険を返金しなければならなくなる)
⑤④の手続きに伴い、労働保険料の修正申告と算定基礎届の訂正届が必要となること
⑥また、本人に復職する意思が無いのであれば、判決に記載しれている額を支払うのとは別に、改めて退職日を何日にするのか等の条件を本人と話し合って決めること(この場合、本人から判決で定められた金額以外に、別途の和解金を請求されるケースもあること)
⑦一番良いのは、私ではなく別の弁護士に相談をすること
などをお話ししました。
兎に角、この会社は敗訴の判決を受け、どうして良いが分からずに立ち竦んでいましたから、①と②を大至急行うことをお勧めしました。
私も敗訴の後始末の相談は初めてのことでしたが、ハローワークと年金事務所に届け出る資格喪失届の取消届には判決の本文を添付すれば良い(通常の取消届のときは賃金台帳やタイムカードを添付するが、解雇した後なのでそれらが無い)ことが分かり良い勉強の機会になりました。
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