属人的仕事 (わかっちゃいるけど無くならない)

「働き方改革」が推進され始めたときに、「属人的仕事」を無くする工夫(マニュアル化等)をすることが必要なことを各社で説明しました。そして、「改正後育児介護休業等に関する法律」を説明する際にも、「属人的仕事」を無くする工夫をすることが必要であることを説明しました。

しかし、大企業は兎も角として、各社とも中々それを実行されようとしていませんでした。何故なら、他人に教えるより自分でやった方が早い、その必要性を感じていない、他人が自分の仕事ができるようになると自分の仕事が無くなるような気がする、マニュアル化する作業が煩わしい、マニュアルの作り方が分からない他いろいろな理由が挙げられます。

そして、これは働き方改革や育児介護とは関係なくよくあるケースですが、超ベテランの社員が業務を独占し手放そうとせず、会社が部下をつけてもその部下を教えようとしない(教えるには教えるが、実務は自分がやった方が早いので自分でやってしまい、部下はいつまでたっても実務経験を踏むことができず、いずれ会社を辞めてしまう等)ケースもあります。このようなケースの場合、その超ベテラン社員が定年退職を迎えたときに大慌てすることになってしまいます。

しかし、このような状況に陥りやすい中で、属人的仕事を無くする努力をされていたのは、数年前に給与計算担当者が急病で3か月程度の緊急入院されたことがある会社さまでした。

そして、今年8月下旬のことですが、給与計算担当者がコロナに罹患され給与計算が出来なくなられた会社がありました(この会社ではその担当者しかタイムカードの集計方法や給与ソフトの操作方法を知らなかったのです)。幸いにも、私が各種届出をする都合でこの会社のタイムカードと給与データを毎月預っており、またその給与計算担当者もタイムカード集計や給与計算で不明な点はその都度私に質問されていましたから、私もその会社のタイムカード集計や給与計算に関してはかなり理解していました。その為、8月末の給与計算だけは私が代行することで支払期日に遅れることなく給与支払いを行うことができました。

なお、この会社の給与計算担当者が職場復帰し、溜まっていた仕事が一段落した頃、私が本人に属人的仕事を可能な限り無くすことの必要性を再度説き、簡単なマニュアルの作り方を説明した処、ご本人は直ぐに本気で取組みを開始されました。

そしてその際に、事務部門の他の人たちのジョブローテーションも近日中に開始するようにお勧めし、自分の仕事の前工程と後工程の仕事を理解することが自分と会社全体の仕事の効率化に結び付くことを説明しました。

しかし、「属人的仕事」というのは、それを無くするようにかなり意識して普段から仕事を行っていなければ無くならず、寧ろ増えていくもののようです。そして更に、技術革新が日進月歩の昨今では、一度作成したマニュアルは最低でも毎年再検討して創り直した方が良いと思います。

なお、前記した業務を独占し手放そうとしない超ベテラン社員の場合は、業務命令として強制的に配置転換し、新任の担当者が慣れるまで私と税理士さんとで新任担当者をバックアップしたこともあります。