昇給と固定残業代から給与体系見直しへ

労働保険年度更新と算定基礎届が例年よりかなり早く終わったので、昇給額を決定した会社で、会社が決めた昇給額が固定残業代とうまくバランスするように助言していました。

例年は、会社が決めた昇給額から固定残業代で見込む時間数が変わらないように計算した金額を控除して、基本給の昇給額を提案する作業だけなので、計算式を使って事務的に処理できるのです。

しかし、今年は昨今の最低賃金の著しい値上げ、求人する際の初任給の値上がり、退職金及び賞与に対する配慮(この会社は基本給に倍率を乗ずるやり方)、パート・有期雇用従業員(嘱託社員を含む)との賃金格差の適正化、嘱託社員と正社員との賃金格差の適正化、同一職種における評価を元にした男女間の賃金格差の適正化ほかも同時に検討されようとしていたので、まずは問題点と課題点を整理することから始めざるを得ず結構大変でした。

ここ数年間、少子高齢化が進展する中で働き方改革が推進され、労働市場が大きく変化し始めている影響を受けて、賃金・賞与・退職金等に対する考え方が変わり始め、中堅・中小企業が従来行っていたそれらの仕組みに無理が生じてきているようです。結果として、この会社では、問題点に対する当面の応急処置をしたうえで、課題点である評価制度の見直しと給与(賃金・賞与・退職金)制度全般の見直しを2~3年かけて行うことになりました。