日本版同一労働同一賃金に関する行政指導&調査

大企業には日本版同一労働同一賃金の根幹となるパートタイマー・有期雇用労働法が今年4月1日から、大企業以外の一般企業には令和3年4月1日から適用されます。

その為、分類上で大企業に属する企業では今年3月31日までに労務管理体制の再検討と就業規則変更の手続きが終わりました。目下、私は大企業以外の一般企業のそれに取組んでいます。

その中で、既にそれらが完了している大企業に、今年9月に行政による指導・調査が行われました。1社は企業に行政官が訪問して調査・指導する臨検調査、1社は労働局に関係資料等を会社が持参して調査・指導を受ける呼出調査でした。

結果は、2社ともに合格点を頂きました😊。1社は調査担当の行政官から「役割要件記述書で正社員とパート・有期雇用社員の役割の違いを対比表で明確にしてあり、非常に分かり易い」「雇い入れ時だけでなく契約更新時に労働条件通知書に加えて処遇決定等についての分かり易い説明書を交付しているので、説明責任を果たしている」、他の1社では「諸手当や慶弔見舞金規程ほかの処遇に関してかなり努力されており合理的格差の範囲内と判断できる」と評価して頂けました。

処遇が従来から職務に基づいて決定されている企業だと職務権限規程等を作成して正社員とパート・有期雇用社員との違いを明確にした方が良いのですが、過去の経緯から日本の企業でそれを一機に行うのは難しい企業が多い為、私はその第一歩として役割分担を明確にした役割要件記述書を対比表形式で作成することをお勧めしています。そして役割要件記述書を作成していく過程で正社員とパート・有期雇用社員との処遇格差の妥当性と評価制度の妥当性を会社担当者と一緒に検討していきます。

そしてその前提として、今までの私の体験から、意外と雇用区分が「賃金支払形態(月給制・時給制)」と「勤務時間数」とでなされており、法律が求める「雇用契約期間の定めの有無」と「勤務時間数」でなされてない結果として雇用区分が曖昧な会社が多いので、雇用区分の定義にはかなりの時間を費やします。

今月13日と15日に最高裁が日本版同一労働同一賃金に大きな影響を与え得る新たな判決5件を下しましたが、その判決内容にも対応できていたようです。ただし、これから12月にかけて弁護士による複数のセミナーが開催されるので、それらに可能な限り出席して、私が判決の中で見落としている点が無いかを確認する予定です。

また、来年1月1日からは育児介護法が改正され1時間単位の子の看護休暇と介護休暇とが取得できるようになる為、それに対応する規則の変更及び労使協定書の作成・届出とに取り掛かる必要があります。この改正への対応は一見簡単そうですが、「時間単位の休暇取得を拒否できる従業員」として新たに「業務遂行上で時間単位の取得が無理な場合(トラック運転手さん等)」が加わり、またその他にも色々と煩雑な問題が発生し得るので意外と規則の変更と労使協定の更新には手間取っています。

また更に、以上の事に加えて、今年6月にパワハラ防止に関する法律が労働施策総合推進法で制定されたのでそれへの対応、来年4月から改正される高齢者法への対応も忘れないようにしなければなりません。

高齢者法(略称)の改正に関しては努力義務ですから、助成金を利用されたい企業以外は

先延ばしにしています。