労働時間・割増賃金をめぐる法律とトラブル対応講座

広島商工会議所主催で岩嵜信憲弁護士が講師の「労働時間・割増賃金をめぐる法律とトラブル対応講座」を受講してきました。もっぱら会社側弁護士の岩嵜信憲弁護士の講座は数年ぶりだったので楽しみにしていました。

講義内容はタイトルとは少し違い「働き方改革」が推進される中で法改正が行われ、企業はどのように対応していくべきか? が主たるテーマであったような気がしました。私は専ら会社側の社会保険労務士であり、特定社会保険労務士となった直後に岩嵜信憲弁護士のセミナーに参加し、その内容をベースに現在まで業務を行っていましたから、丁度、いまのような変革期に岩嵜信憲弁護士がどのような講義をするのか大変に興味がありました。

そして、原点に戻り、現状分析と今後の方向性を踏まえて、今後の業務を推進していきたいと思っています。この講座で印象に強く残ったのは、

「昨今の法改正は、①健康障害防止を目的とした流れ、②"働き方改革"の推進を目的とした2つの流れが重層的目的となっていること」であり、

(Ⅰ)(当たり前のことですが) 企業は黒字でなければ生き残れない

(Ⅱ)最近の送検・訴訟は、法人だけでなく取締役や店長など管理者も被告とされるので、それらの人達に十分な労働諸法に関する知識を教育しておくことが必要であること

(Ⅲ)固定残業代制の運用に関しては厳格な運用が必要な状況になっていること(固定残業代制が否認された判決がある)・・・固定残業代制にするとしても、固定残業代として60時間以内の時間に留めておくならば裁判所などで否認される可能性は少ないが、60時間超80時間以下の場合は否認される可能性が多分にあること。

そして最も強く印象に残ったコトは、

「厚生労働省にタイムカードを導入することが国会で審議された際に、国(内閣総理大臣)は"タイムカードのみでは職員の正確な勤務時間が把握できないことから、勤務時間管理の手法としてタイムカードの導入は必要ないと考える"と答弁している」ことが資料で確認できたことです。私は従来から「タイムカードやICコーダーの打刻により始業終業時刻を判定するのはトラブルの元になる。それらは出社退社(在社時間を記録するだけで就労時間を記録するものではない)」からタイムカードやICコーダー導入には懐疑的な立場(寧ろ反対する立場)でした。一方、労働基準監督署による公文書では「タイムコーダー等による打刻」を勧めているコトが多く、私は社労士として板挟みになっていました。しかし、この国会答弁書で私は自らの意見を明確に主張できるようになりました。

以上でした。

 

今年の8月は「夏はどうせ暑くて仕事になり難いから、できるだけセミナーを受講して新しい知識、最新の知識を得よう」と考え、色々なセミナーに参加しました。そして、セミナーの合間を縫いながら"働き方改革"について学習し、"働き方改革"が推進されると"人事評価制度"と"給与体系"の再検討が必ず必要となるのでそれらを再学習しながら、合間に仕事をしていました。その結果、加齢による体力の低下を顕著に感じました。しかし、充実した夏でした。