ストレスチェック制度の運用について

法律が会社に義務付けた「ストレスチェック」を今年から定期健康診断のときに同時に実施しようという会社は多いと思います。このとき注意しなければならないことは、定期健康診断と違ってストレスチェックは従業員に強制することが出来ない点です。あくまでも希望者だけ・・・ということになります。そんなやり方で職場ごとのストレス度合の測定ができるの?と疑問を抱く処ですが、法律で決まったことだから仕方がないと考えます。

しかし困るのは、会社がストレスチェックを実施した際にはそれを利用せず、別なときに従業員が心身の異常を感じてストレスチェックを希望したときどのようにすべきか?が法律では決められていません。行政通達では、会社の実施は年1回に限定することなく、業務上の都合等によりに2~3に分散して実施することも認めているだけです。ストレスチェック制度の本来の目的を正しく理解せず、個々の従業員が精神疾患に罹患しているか否かを判定するのがストレスチェックの目的だと誤解する従業員が発生することは十分に予想できます。

定期健康診断の際に会社はストレスチェックを実施し、その時に本人が利用しなかっただけですから、会社の法律上の義務は既に履行されたことになります。

そうすると、

①利用しなかったのは従業員の自由意志によるものであり、その後に利用を希望するのは本人の都合にしか過ぎない。その為、会社が予め準備しているストレスチェック制度の利用は認めるが、ストレスチェック分析で必要となる経費だけは本人負担とし、その結果を会社の産業医に見せ相談する場合の産業医の費用は会社の負担とする。

②会社が指定したとき以外はストレスチェック制度の利用を会社が拒否し、医師など病院で診断してもらうことを本人に勧める。その際の費用は本人の負担とする。

等のことをストレスチェックに関する社内規則(就業規則等)で予め決めておくことが必要になります。