企業は人なり!!

昔しから「企業はヒト、モノ、カネ、そして情報で出来上がっている」と言われています。

そして、新たな事業を始めると、その事業を軌道にのせるまでは営業に専念せざるを得ません。このときは情報、カネ、モノを優先せざるを得ません。事業が小規模な間は、社長が率先筆頭、営業のために爆進します。その結果、営業部長のようなオーナーが社長業を代行している状態が続きます。この人達は、比較的に情報、カネ、モノを活かすことは長けていることが多いのですが、ヒトを動かすこと(特に法律)は余り上手くないことが多いようです(ヒトを教え、育てようとするよりも、命令で動かそうとしてしまう傾向があるようです)。しかし、小規模から中小規模となり、更には大企業の仲間入りをする過程のどこかの段階で、ヒトの重要性に気付かざるをえない状況が訪れます。

有名な剣豪「宮本武蔵」は一人で吉岡道場の多人数を相手に圧勝したり、燕返しで有名な佐々木小次郎に打ち勝ったり、非常に強いサムライであったと聞きます。しかし、集団を動かす「兵法」に関してはどうも今一つだったらしく、非常に強いサムライでありながら、どの藩でも剣指南役としては中々雇って貰えなかったとも聞いています。「自らが強い」ということと、「集団を動かして戦さに勝つ」ということは違うことです。因みに、武田信玄(翁)頃から徳川家康(翁)までの時代では、大将個人が武名を上げることは卑しいことと考えられていたようです(大将は個人が戦うのではなく、集団を動かして戦さに勝つことが役割とされていたようです)。

さて、少子高齢化が現実のものとなった現代では、労働力人口(特に若者)が減り始めていますから、従来にもまして「ヒト」をいかに上手く活かせるかが重要な時代となってきました。

また、私が社会保険労務士となった約14年前頃は、「企業内自治の原則」が尊重され、労働基準法といえども最低限の労働条件しか定めてなく、企業内に行政機関が入り込んでくるのは、労組法を除けば労働安全衛生法か税法関連のこと程度でした。その為、法律違反さえしないように企業が注意しておれば良い時代でした。しかし、いまはそれらの法律だけでなく、育児介護休業法、派遣法、男女雇用機会均等法、女性活躍推進法、障害者雇用促進法、労働契約法、下請法など各種の法律を盾にして行政が積極的に(指導という名目で)企業内に介入してくる時代となっています。そして、それらの法律が目まぐるしく変更されている時代です。裁判所でも、労働紛争に関する裁判のときは、その企業の就業規則をかなり重視する時代となっていますから、安易に就業規則を定めていると(特に、市販書籍や知り合いの会社の就業規則をコピーする等)、労働紛争が発生したときにとんでもない目に遭うことになってしまいます(弁護士も労働紛争を得意とする弁護士でなければ法改正と判例実務に対応しきれずに紛争解決の際に役に立たない時代になっているようです)。

そして更に、最近の政府(首相)の発言や行政機関から届く指導の内容を検討すると、法律を遵守するだけでは不十分で、従業員の更なる処遇改善(賃金増額、残業時間数大幅削減など)を企業に求め始めているようです。

そうすると、企業としては、従来にも増して「ヒト」に対する経営戦略(賃金だけでなく人事評価制度、教育制度、役割・責任分担等)を明確にしていくことが必要な時代となっているようです。

私は特に倒産しそうな会社の事業再生をお手伝いするときは「どんなに優秀な機械があっても、またどんなに沢山の資金があっても、それを上手く活用できる人財がいなければ、それらは宝の持ち腐れとなってしまう。だから危機的状態にあっても、従業員教育には力を入れてください。従業員教育を通じて社員と経営陣が一体となることが事業再生の秘訣です」とお話しするようにしています。その為、緊急雇用安定助成金も、休業させるだけの場合は利用しないように勧め、休業させて現状を打破するための教育をするときには積極的に利用を勧めるようにしています。

以上、この半年間で対応させて頂いた諸案件を総括させて頂きました。