派遣と育児休業代替要員

ある会社で従業員さんがご出産されるので、派遣元会社から代替要員を派遣して貰うことにしました。

その会社では業務の引継期間を考え、本人(出産予定者)が産前休業を取得し始める2か月前から派遣社員を受け入れていました。

そして本人(出産者)は育児休業を子供の1歳の誕生日の前日まで取得し、誕生日以降は短時間勤務を開始しました。その為、会社は暫く本人の生活状況と仕事ブリを観察し、また短時間勤務を支援するために、派遣期間を2か月だけ延長しました。

そうした処、派遣社員から「正社員への転換申出」があり、会社としてはビックリして私にご相談された次第です。この場合、派遣先はその申出を受けて派遣社員を直接雇用する義務が発生するか否かというご質問です。

派遣法は頻繁に法改正が行われ、また申出と直接雇用の問題は非常にデリケートな問題ですから、私も念の為に労働局需給調整課に確認してから回答することにしました。

その結果は、「1年以上派遣が続く見込みが発生したときに雇用安定義務が生じるのは派遣元だけであり、派遣先には何も義務は発生しない」ということが確認できました。この結果を相談先に連絡した処、相談先(派遣先)は酷く安堵されていました。

しかし、出産・育児関連で派遣を受け入れた場合、産前休業は出産予定日の6週間前(約1.5ヵ月前)から始まり、育児休業は出産日(子供の1歳の誕生日)の前日で終了する訳だから通算すると1年を超えてしまい、代替要員を派遣として受け入れると必ず1年を超えることになる訳だから、派遣法で"1年を超える期間派遣が続くと見込まれたときに派遣元に雇用安定の義務を負わせる"というのは少しオカシイのではないかと思いました。