社会保険への加入義務

「社会保険への加入義務」に関してのご質問がよくあります。

厚生年金保険法は、第9条で「適用事業所に使用される70歳未満の者は厚生年金保険の被保険者とする」と定めることで、「適用事業所は全ての従業員を社会保険に加入させなけばならない」ことを義務付けています。その上で、同法第12条で例外として「適用除外者」を定めています。従って、適用事業所である会社は、第12条に該当しない全ての従業員を(従業員の希望には関係なく)社会保険に加入させることが義務付けられています(従業員本人ではなく会社の義務にしている)。

そして同法第12条第2項2号では「2カ月以内の期間を定めて使用される者は加入義務はない。但し、所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く」と定めています。ご質問で一番多いのは、この第12条第2項2号に関するご質問です。

もし、最初は2カ月間の有期雇用契約として雇い入れていたとしても「契約の更新をいい加減」にしていたり、「最初の2カ月間の有期雇用契約を"試用期間"として・・・」などと考えていたら、社会保険への加入義務が発生することになります。なぜなら、「試用期間」は法律的には「解雇権を留保した"期間の定めがない"雇用契約」と見做されるからであり、これでは厚生年金保険法第12条第2項2号の適用除外者の条件(2カ月以内の雇用期間)を満たさなくなるからです。

そして、当初は2カ月間の有期雇用契約で雇い入れた従業員の雇用契約を業務上の必要性から更新する場合には、当初の契約期間満了日の10日前から1週間前までに本人と面談を行い、新たな労働条件通知書を交付し、再契約後は社会保険に加入する手順を守るべきである考えます。要するに「ケジメをつけること」が大切な訳です。こうすることで、社会保険への加入義務と同時に、労働紛争防止の対策も講じていくと良いと思います。