これって、就業規則の説明会?

昨日はある会社で就業規則の説明会を開催しました。就業規則を大幅に変更したからです・・・。

どんな説明会をしようかと事前に会社の経営状態、従業員のモラール等を調べましたが、最悪の状態でした。人件費比率(売上に占める人件費の割合)が業界平均値よりも10%も高いにも関わらず、一人当たり人件費は広島県最低賃金733円を意識しなければならない位に低いのです。要するに従業員数が多すぎる状態なのです。また、社内でよく仕事をする従業員がいると、他の従業員が「なんでそんなに一生懸命に頑張るのや? 頑張っても、精がない会社なのに・・・」と言って頑張る従業員を制止する状態であることも分かりました。そして更に、優秀な部下がいると、その上司が部下のやる気を削ぐようなことを行っていることも分かりました。そうです・・・。どうしようもない状態なのです。今は資金繰りが回っているから何とかなるものの、いずれはその限界に近づくことが明らかな状態なのです。

案の定、就業規則変更の説明会には全従業員の1割程度しか出席していませんでした。

しかし、私はヘコタレません。昔から「二八の原則」と言われるように、従業員の中で2割優秀な従業員がいるのが普通の会社ですから、最悪の状態に陥っている会社では1割ほどでも会社のことを考える従業員がいれば立派なモノです。この1割を突破口にして会社を良くしていけば良いのです。無いモノねだりをしても仕方ないことです。

さて、こうして始めた就業規則説明会ですが、まずは会社の現状から説明を始めました。そして、従業員の給与を増やすためには、利益額を増やすことが必要であり、利益額を増やすためには、売上を増やすか、経費を削減することが必要であること、その中でも特に従業員の時間の使い方が非常に重要であること、を説明しました。いままでやっていたことだからというだけで、成果の上がらない仕事や作業を無意味に継続していないか、お客様のニーズは変わっていくものだから、そのニーズの変化に対応してお客様により一層満足して頂ける方法はないかを考え実行することが大切であることを伝えました。そして、会社というものは組織であり、個人が集まっただけの烏合の衆では無いのだから、会社で仕事をしているということは、1人+1人=3人分の実績 とならなければ会社で仕事をしているとは言えないと伝えました。そして、その為には「"他を思いやる心(仁)"が大切であり、チーム・プレーが大切である」ことを伝えました(この会社はチームプレーよりも個々の職人芸を重んじる風潮が強いため)。

こんな説明会をしていると、就業規則の説明会というよりも、企業コンサルタントの説明会のようでした。しかし、チャンと就業規則の重要なポイントだけは伝えておきました。1カ月単位の変形労働時間制を採用すること、支店と本店では1週間の所定労働時間数が違うこと、残業代は賃金の中に一定額が含まれているがその額を上回る残業を行った場合には追加で残業代を支払うこと等々です。

これだけのことを1時間で要領よく話しするのは少々無理がありましたが、この会社の説明会では話さざるを得ない内容ばかりでした。また約1時間で打ち切ったのは、モラールが低い従業員さん達に長時間の説明をしても"馬の耳に念仏"となってしまうからです。

私が行う就業規則説明会の目的は「就業規則や法律の説明を行うこと」ではなく、「良い会社(三方良しの会社)になるためにはどうすれば良いかを考える機会を設けること」なのです。1時間という短い時間の中に重要な内容を盛り沢山にしましたが、その中の1つでも良いから従業員さん達に何か"気づき"を与えることができれば幸いと考えた上での就業規則説明会です。

しかし、この2カ月間は、企業の実態調査から就業規則の変更、そしてその説明会へと続き、疲れました。