コミュニケーションの曖昧さ

ある従業員さんが休日にバイクで事故をして、約2カ月間の休業をしていました。

事故の相手方とは保険会社を経由して交渉されていますが、過失割合に関して相手方と合意が成立しないために裁判所に審判を仰ぐことになりました。

この会社に昨日お伺いして健康保険の傷病手当金の書類に医師の証明が貰えたか否かを確認しようとした処、その従業員さんが「依頼した弁護士から傷病手当金の手続き書類は弁護士に提出するように言われました」と言います。

ここで私は「アレー??? どういう意味なのだろうか?」となってしまいました。言葉に曖昧さがあるのです。この弁護士からの依頼は、①傷病手当金の手続きは弁護士事務所が行う、という意味なのか(最近は弁護士事務所で社会保険労務士を雇用したり提携したりしている事務所もあるので)、それとも②傷病手当金の手続きが終了したら、受理印が捺印された書類のコピーを裁判の証拠書類として使用するので、その提出後の書類のコピーを弁護士に提出してくれ、という意味なのか(この場合は傷病手当金の手続きは私が行うことになります)???が不明なのです。

そこで、その従業員さんにこの点を弁護士に確認するように依頼しました。

しばしば"言葉の曖昧さ"を残したままでコミュニケーションが行われることはよくあります。そのために誤解やトラブルが発生することは多いものです。

コミュニケーションというのは、書類と違い、微妙なニュアンスが伝わるので相互の理解には役立つのですが、逆に言葉の曖昧さ(言葉をどう理解するか)を残すことにもなります。

昔しから「コミュニケーションは聴き手が成立させる(聴き手が正しく理解しないとコミュニケーションは成立しない)」と言いますが、同時に有名な"メラビアンの法則"では「話しが相手にどのように伝わるかは、①話しの内容・言葉で7%、②声の質・トーン(聴覚的要素)で38%、③話し手の"見た目"や"シグサ・動作"(視覚的要素)で55%で決まる」とも言います。このようなことに加えて"言葉の曖昧さ"がありますから、コミュニケーションにはかなりの曖昧さがあることだけは間違いないようです。