有期労働契約の従業員の解雇

「有期労働契約の従業員を、その契約期間の途中で解雇したい」という相談がありました。まずここで思い出さなければならないことは、労働契約法第17条第1項で『使用者は、期間の定めのある労働契約(以下、有期労働契約という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない』と定められていることです。 しかし、どのような場合が「やむを得ない事由」となるのか・・・・・悩ましい処です。

こんなことを考えながらご相談のあった企業にお伺いし詳細をお聴きした処、

①有期雇用短時間勤務の契約(1年間)を締結したが、採用面接時に他社勤務していることが分かったので、当社業務に支障が生じない限りでの兼業を認める約束をし、最初の3カ月間は試用期間とすることで合意したこと

②前月上旬に入社したばかりでまだ1カ月が経過していないが、労働条件通知書で定めた所定労働日数の約半分の日数しか出勤していなく他従業員に対してシメシがつかず、会社規律が乱れる可能性が強いこと

③先月の勤務実績に関して本人に厳重注意をしたが、今月前半も所定労働日数のうち4割を欠勤したい申し出があり、改善される見込みがないと判断できること

④私に相談した時点では既に入社後14日を越えていたが、労働条件通知書で『最初の3カ月間は試用期間とし、その間の勤務実績・勤務態度を元に最終的に有期契約従業員とするか否かを決める』となっていること

⑤入社時に本人は上記①②④のことが記載された労働条件通知書を確認したうえで署名したこと

⑥作業をやらせるとミスばかりで、顧客からクレームが数回届き、相変わらずミスをしていること(注意しても、是正する意思がない)

等々のことがわかりました。そして、私も「ここまで酷い状態であれば『やむを得ない事由』に該当するだろう」と判断し会社には解雇可能と返事しました。ただし、会社責任者には、「本人と直接に話しをして、まずは上記の①~⑥の内容を伝え、試用期間終了後に有期契約従業員として雇用される見込みがないこと」を先に伝えて退職勧奨するように勧め、それでも駄目ならば解雇するようにお勧めしました。