厚生年金制度の法改正と企業年金基金廃止の研修会

昨日は広島県社会保険労務士会主催の研修会で(1)「年金制度改革について」(2)「企業年金基金の廃止について」の講習がありました。

(1)年金制度改革」として、現在下記のものが決定され、施行日を待つ状態になっているそうです。

  従業員数(被保険者数)が501人以上の企業では、短時間勤務者(パートタイマー)に対する社会保険加入義務の基準を下記のように変更する。施行日は平成28年10月。

    (a)1週間の労働時間数が20時間以上であり、かつ(b)賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であり、かつ(c)勤務期間が1年以上見込まれる場合には社会保険に加入させなければならない。

  ②育児休業中だけでなく産前産後休業中の社会保険料も手続きをすれば免除する。施行日は平成26年4月です。

  ③年金は物価スライド制であるにもかかわらず、平成11年~13年の物価下落時に年金を据え置いたことによって本来の水準よりも2.5%高い水準(特例水準)となっている状態を平成25年10月に1%、平成26年4月に1%、平成27年4月に0.5%ずつ年金額を引き下げることで本来の水準に戻す

  ④年金が貰えるために必要な加入期間(カラ期間、免除期間を含む)25年を、今後は10年で年金が貰えるように変更する。ただし、消費税引き上げによる税収増をその財源としているため、現在時点では平成27年10月を施行日に予定しているが、消費税がどうなるかによって施行日は変わることがある。

  遺族基礎年金が父子家庭でも受給できるようにする

ただし、消費税引き上げによる税収増をその財源としているため、現在時点では平成26年4月を施行日に予定しているが、消費税がどうなるかによって施行日は変わることがある。

  ⑥-1 70歳後に年金の繰り下げ受給をしても70歳からの年金を受給できるようにする

  ⑥-2 未支給年金請求の遺族範囲を3親等以内に拡大する。

  ⑥-3 国民年金任意加入者の未納期間を合算対象期間に算入する。

  ⑥-4 免除期間に対する保険料の取り扱いを改善する。

  ⑥-5 保険料免除の遡及期間を過去2年分に拡大する。

  ⑥-6 付加保険料の納付期間を延長する。

  ⑥-7 障害年金の額改定請求時の待期期間を一部緩和する。

  ⑥-8 特別支給の老齢厚生年金の受給期間に関する障害特例を改善する。

  ⑥-9 不在(行方不明)高齢者の届出を義務化する

  優遇されていた共済年金を厚生年金に統合する。施行日平成27年10月。

  以上は年金事務所が発行しているパンフレットを元にしたものですが、説明した年金事務所職員も「まだまだ詳細が不明で、わからない点が沢山あるのが現状です」と言っていました。

 (2)「企業年金基金の今後として

   財務内容が健全な基金は、代行部分を返上して他の制度に移行するか、基金として存続することもできる。

   代行割れはしていないが、存続基準を満たすだけの資産が無い基金(代行割れ予備軍)は、5年以内に存続基準を満たさなければ厚生労働大臣による解散命令が発動される。

   代行割れしている基金は、5年以内に自主解散する、または厚生労働大臣の指定に基づき清算型解散をする。

詳細な説明がありましたが、複雑になる為ここでは割愛させて頂きます。ただし、一企業として年金基金が解散する前に基金から脱会しようとしても、或は基金が解散しても、積立不足金を負担させられますので、現在基金に加入している企業にとっては頭が痛い問題です。尚、講師の試算によると、基金を解散する際に、特例解散制度による納付額の特例を適用すると、不足額の返還のための事業主の負担額(従業員1人あたり)は、平均で5割減となり44万円(最高は228万円)になるそうです。