経営革新計画(病院の院内感染予防対策)

総合ビル・メインテナンス会社は、公共施設の入札方式が必要経費を検討することなく単に入札価格の安い業者に決定される為、非情に困っています。社会保険労務士会の東京板橋支部では区役所からの委託を受けて指定管理業者が法律を遵守しているか調査を開始しているそうです。社会保険や雇用保険に従業員を加入させず、酷いときには最低賃金を下回った賃金で働かせたり、残業代を支払わなかったりすることで会社の労務費を節減して超安価な入札価格で落札しているそうです。東京板橋支部の調査で違法性が確認された場合は入札対象業者から外されてしまうそうですが、この動きはまだ全国的には徹底されていません。その結果、公共施設の入札価格は滅茶苦茶な状態となってしまっています。

そこで、私の顧問先のビル・メインテナンス会社では、病院の清掃業務を改革して院内感染を予防できるシステムの開発をすることで他社との差別化を図り、価格競争から脱却しようとしています。病院は病気治療や細菌のことは詳しいのですが、院内感染を日常的に予防する方法(清掃業務)に関しては疎いのです。そのため、この会社では過去数年間、東京の東大病院と連携して院内感染予防対策の研究を行い、東大病院、広島県の県立広島病院、マツダ病院、浜脇整形外科病院などで試行しつつあり、検査数値で見る限り素晴らしい成果をあげています。

病院では、従来から当然のこととして定期的に消毒作業は行われていました。しかし、消毒作業は毎日行う訳ではありませんから、1回消毒をして次の消毒を行うまでの間に、細菌がドアノブ・手摺・カウンター・床などに付着し、それらに被膜化し付着している汚れ(人間の皮脂やタンパク質等)を温床に増殖してしまい、院内感染を発生させてしまうリスクが大きいのです。そこで、この会社では日々行う清掃業務で被膜化し付着している汚れを洗浄して細菌が増殖できないようにしようという事業概要です。近い将来には消毒効果もある清掃方法にまで発展させようと現在いろいろと試行中の処です。

病院にも、患者さんにも、病院来訪者にも大変に良いことなので、是非成功させ普及させる必要があると考えるのですが、病院経営の採算のことを考えると清掃費用が値上がりしてしまうので中々受け入れて貰えない現状があるのです。

そこで、広島県に経営革新計画として認定して貰い、広報活動に役立てたく経営革新計画を提出することになりました。現在は既に経営革新計画を広島県商工労働局経営革新課の職員に見せ、県から更なるパワーアップを図るため色々なアドバイスを貰っている最中です。

村上社労士事務所は社会保険労務士であると同時に中小企業庁の認定支援機関ですから、社会と会社をより良くするためにこんなお手伝いもさせて頂いています。