懲戒解雇と解雇予告手当

昨日、ある顧問先で「うつ病で障害者3級の手帳を持つ従業員が、会社が従業員用に準備している食事に睡眠薬を混入していた。これで2回目だ。今から本人を呼んで話しをするが、このような場合は懲戒解雇できるか?」という質問がありました。

私は「他の従業員の安全を確保するために、懲戒解雇という事態となっても仕方ないと考えます。しかし、懲戒解雇といえども労働基準監督署の除外認定を取らなければ解雇予告手当を支払うことが必要となります」と答えましたが、会社の人は「今回のようなケースで解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支払うことを経営者が認める訳がない」と言われるので、私は「それなら退職勧奨するしか無いと思います」と取り敢えずは答えました。

その上で念のため社名を伏せて広島中央労働基準監督署に事情を電話で話して除外認定を受けられる可能性を尋ねました。労基署の回答は「軽犯罪法に違反する事実があれば除外認定される可能性もあるが、労基署が事実調査をするとき本人が事実否認すると問題は厄介になる。できれば自認書(自分がやったことを文書で証明させておく書類)を徴収しておく方が良い」ということでした。

今回の結果として、話し合いの末に本人が当日付けの辞表を提出して大事には至りませんでした。なお、本人は「チョッとした悪戯心でやった」と言っていたそうで罪の意識は無かったそうです。

しかし、悪戯心とは言え程度というものがあり、一般常識の無い人が増えたことを痛感しました。