65歳到達時の賃金の変更

65歳になるから仕事の内容を変更して給与を変更しようとする場合に注意しなければならないことがあります。

現在、60歳以降の従業員の賃金を変更する場合には特例措置により・・・

一端退職して同日に再雇用した場合には、月額変更届の対象としてではなく、同日得喪として手続きすることができます。こうすれば、月額変更届で処理した場合のように4カ月後からではなく保険料はその月分から安くなりますし、年金も月額変更届として処理するよりも早く増額支給されます。

しかし、ここで注意しなければならないのは、この特例措置は「特別支給の老齢厚生年金」の受給者を想定したものである為、65歳の誕生日の前々日までしか対象としないという点です。

その為、65歳の誕生日(世間一般でいう誕生日)から賃金を変更した場合は、この特例措置の対象とならず、月額変更届の対象者となるため、保険料が安くなり年金が増額されるは4カ月以後のことであるという点です。65歳の誕生日以後に賃金を減額した場合は、60歳~65歳の間は「特別支給の老齢厚生年金」であったのに対して、65歳以後は「本来の厚生年金と国民年金」の支給対象者となり「在職による年金減額」が軽減されるので一端年金が増え、その後の月額変更届によって標準報酬月額が安くなると再度年金が増えるという二段構えの増額となります。

しかし、65歳の誕生日の前々日までに一端退職したことにして、同日に仕事内容を変えて賃金の減額をした上で再雇用した場合には特例措置の対象者となりますから、同日得喪の手続きをすれば保険料も年金も速やかに改定されます。

例えば、10月11日の誕生日で65歳になる人の場合は、10月9日以前に仕事内容を変えて賃金を減額すれば特例措置対象者として速やかに保険料は安くなり年金は増額されます。しかし、10月10日以後に同様のことを行うと月額変更対象者として4カ月経過してから保険料と年金が改定されることになります(法律では誕生日の前日に新しい年齢に到達したと考えるため、誕生日の前日ではなく前々日であることが必要となるのです)。

細かいことをお話しするようですが、年金を貰い保険料を支払う従業員さん本人からすると大きな問題であることがあるので、1日違いで「しまった」ということにならないように注意したいものです。