月額変更届と算定基礎届

ある企業から『「月額変更届」と「算定基礎届」による標準報酬月額の変更がゴチャゴチャになり、どのように処理したら良いのか判らなくなったので教えて貰いたい』というご質問がありました。

事情をお聴きすると、確かに2月頃から複数の従業員の毎月の諸手当を頻繁にかつ段階的に変更しており、その結果、月額変更届と算定基礎届とがゴチャゴチャに入り組んでしまい分かりにくくなっていました(月額変更届モレを遡って処理したものもありました)。

 

月額変更届の「改訂月」が1月から6月までの場合には、その新しい標準報酬月額は、その年の8月分保険料まで有効であり、9月分保険料からは算定基礎届で届け出た標準報酬月額が適用されます。また、月額変更届の「改定月」が7月から12月までの場合には翌年8月までその新しい標準報酬月額が適用(再度月額変更の対象にならない限り)されます。因みに算定基礎届の総括表には7月~9月に月額変更届をする予定者人数を記入する欄(8月と9月は氏名も記入する欄)があります。

そのため1月から6月までが改定月となっている月額変更届の場合には、改定月で一端は月額変更届の新しい標準報酬月額に訂正して、その後に算定基礎届による標準報酬月額に再度訂正することが必要になります。7月以降が改定月となっている場合は、仮に間違えて算定基礎届をしていても算定基礎届による標準報酬月額の再変更は必要ありません。

このことを私は単純化して「7月以降は算定基礎届よりも月額変更届が強くなる」と覚えています。

ただし、ここで注意しなければいけないことがあります。一般的な企業は、保険料を翌月の賃金から控除することで、入退社時の煩雑さを避けています。このために上記の「月額変更届の改定月」に記載されている月の翌月から給与計算の標準報酬月額を変更することになるという点です。自社の保険料の取り扱いは、当月分の賃金から控除しているのか、それとも翌月分から控除しているのかをよく把握しておくことが必要です。

国会では年金の財源不足から保険料の取り扱いに関する議論がされていますが、できるだけシンプルなやり方で決めて貰いたいものです。