個別労働紛争の「あっせん」制度

今週は個別労働紛争の「あっせん」が1件ありました。個別労働紛争とは、労働組合が関与しない状態で、従業員と会社の間でトラブル(未払賃金、解雇、転勤ほか)が発生したことを言います。また「あっせん」とは、紛争解決のため第三者を交えた話し合いの場を設けることであり、国、県、社会保険労務士会などが無料でお手伝いしてくれます。第三者が当事者同士の間に入り、和解できる方法を探す手伝いをしてくれるのです。

「話し合って和解する」というと聞こえは良いのですが、和解するためには双方ともに譲歩することが求めれます。そのため、どんなに会社がパーフェクトでも譲歩を求められることがあります。また、建前では法律を論拠として判断するということになっていますが、実態は法律と感情とが入り混じった状態で「落としどころ」を見つけ出すことが多いのです。

私はいつもトラブルが発生すると紛争化しないように色々なことを行います。当然のこととして、万が一「あっせん」や「裁判」となっても会社が負けないように布石も打っていきます。

そのため、今回のように「あっせん」となってしまい、和解するために譲歩を求められると悔しくて仕方ありません。しかし、あっせん打ち切りとなり裁判となってしまうと、会社は法外な費用と時間を費やすことになりますから、それを避けるために何がしかの譲歩をせざるを得ません。

ただし、「あっせん」を経験した会社に共通して言えることがあります。それは、「あっせん」を体験された会社は、それを苦い教訓とされ確実に良い会社になっていくということです。私が弁論書(答弁書)などを作成するときに、法律を元に論理的に考えることを無意識のうちに教え込み、その合間で経営に関してもアドバイスするので、会社のムダ・ムラ・ムリに気づくようになり、その結果、会社が変わり始めるようです。